WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

ついに開幕したラリージャパン! ヒョンデ・ワールドラリーチームと謎が多いハイパフォーマンスモデル「N」の詳細に迫った (2/2ページ)

ついに開幕したラリージャパン! ヒョンデ・ワールドラリーチームと謎が多いハイパフォーマンスモデル「N」の詳細に迫った

この記事をまとめると

■愛知県と岐阜県で2回目となるラリージャパンが開幕した

■ヒョンデはIONIQ5Nを日本に持ち込み一般来場者に公開中

■「ヒョンデ・ワールドラリーチーム」のシリル監督とヌービル選手にインタビューを実施

ヒョンデが話題の「N」を冠したマシンを持ち込んだ

 昨年、じつに12年ぶりの開催となったラリージャパンは大盛り上がりとなり、各メディアやSNSを大いに沸かせたことは記憶に新しい。

 そんなラリージャパンが今年も11月16日(木)〜19日(日)の期間で、愛知県と岐阜県で開催されている。今回、WEB CARTOPをはじめとした複数の媒体とジャーナリストが、WRCに参戦する韓国の自動車メーカー「ヒョンデ」のラリーチームである「ヒョンデ・ワールドラリーチーム」から招待を受け、ラリージャパンの観戦に招待して頂いたので、今回はその模様を少しだけお伝えしたい。

 さて、今回はまず本サイトでも何度かお伝えしているが、ヒョンデのスポーツモデルである「N」ブランドに関する話題からお伝えしよう。

 この度、まだまだ日本では謎が多い「N」に関する説明を、韓国のヒョンデ本社のN部門の副社長を務めるジュン氏が来日し、我々に説明するところからスタートした。なお、ジュン氏は、ドイツや日本のスポーツカーが大好きで、トヨタのMR2を所有していた過去もあるとか。また、来日した際は、首都高の大黒PAで改造車を必ず見に行くという筋金入りのクルマ好きでもあるそう。

 この「N」というブランドと歴史について少し説明する。「N」は、日本で言うところの「NISMO」や「GR」、欧州で言うと「M」や「AMG」といったワークス部門を担当する会社であり、2012年から始動した比較的新しい組織だという。その後、2015年からローンチをはじめ、WTCRやニュルブルクリンク24時間耐久レース、そして現在も活躍を続けるWRCへと参戦し、レースに勝てるクルマ作りを進めている。

 以前から韓国人はクルマに対する感度がかなり高い民族だったそうだが、その一方で韓国メーカーには「いい!」と思えるようなクルマがほとんどなかったそうだ。そのため、ドイツブランドや日本車を選ぶ人が多かったという。そんな状況を打開するためのきっかけ作りでもあったのが、この「N」の誕生秘話だ。

 サーキットで鍛えたクルマを、市場で販売できるよう研究開発を重ね、フィードバックして生まれるのがNブランドを掲げるクルマである。この辺りは、国内や欧州の自動車ブランドがやっているようなことと同じだ。

 その後、ヒョンデの「N」は次第にファンを増やしていき、最近ではあの名車ばかり集う世界的祭典「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」にてデモランを行うほどのブランドに成長。最近は映画にもなった、日本が誇るレーシングシミレーションゲーム「グランツーリスモ」にも、「N」の手がけたコンセプトカーが登場している。

 ちなみに「N」は、開発拠点のある韓国の南陽の「N」と、ニュルブルクリンクの「N」からきているそう。それと、「N」という文字はコーナーの造形を象っており、「気持ちのいいコーナリングができるクルマ作りを目指す」という意思も、この文字に込められるそうだ。また「N」は、ヒョンデの想像力と勇気、イマジネーション、ファンの情熱から支えられているとジュン氏は語った。

 そして、今回のラリージャパンのメイン会場である豊田スタジアムのヒョンデブースに持ち込まれたのが、話題の「IONIQ 5」をベースとしたNブランドのフラッグシップモデル「IONIQ 5N」だ。鮮やかなボディカラーであるこの色は「パフォーマンス・ブルー」と名付けられており、「N」を象徴するカラーなんだとか。

 このクルマは、最高出力650馬力、0-100km/h加速は3.4秒、最高速は260km/hを誇るという文字通りのモンスターマシン。そのほか、3種類の電子音を使った排気音を奏でる演出やパドルシフトなどが備わっているほか、大型の対向ブレーキなども備わった本格的なスポーツモデル。なお、この650馬力という数値は、IONIQ5の最上位グレードの倍以上の出力である(最上位モデルは前後モーター合わせて305馬力)。

 ステアリングにも「N」の文字が誇らしげに光っているのが印象的であった。形こそ通常のIONIQ5とそう変わらないが、スペックはまったく異なることがわかるはずだ。それと、デザインが直線的で格好いい影響もあってか、SUVタイプのクルマでありながら、こういったスポーツモデルとしてのキャラクターが似合っている点も魅力的に感じる。

 このIONIQ5 Nは世界的にも注目されており、先述の「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」ではデモランを実施したほか、ドリキンでお馴染みの土屋圭市氏も実際にステアリングを握って、「N」が特別に用意した油圧サイドブレーキを装備したIONIQ5 Nでドリフトしている映像も公開されている。土屋氏曰く、「EVでドリフト自体初めてやったし、2.2トンもある車体が1.8〜1.9トンくらいに感じられるくらいハイパワーで楽しいよ」と大絶賛していたそうだ。

 今回のラリージャパンでは、世界に2台だけ、かつ実際にグッドウッドを走ったドリフト仕様のIONIQ 5Nも展示されている。通常モデルとの違いは4つ(全席フルバケットシートであったりロールケージがついている)ほどなんだそうで、韓国で市販されているIONIQ5 Nでもドリフトはできるそうだ。

 なお、このIONIQ5 Nはなんと、来年のなるべく早いタイミングで日本でも販売する予定もあるそうだ。価格も想像以上に安く設定しているそうなので、続報に期待したい。

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了