この記事をまとめると
■ボルボの新世代EVである「EX30」にスペインで試乗した
■カーボンフットプリントを徹底的に下げた内装はビンボー臭く見えない北欧デザイン
■クルマとして妥協のない造り込みと完成度とパフォーマンスをEX30は備えていた
グリルレスのマスクもボルボならなんだか優しげに感じる
グリルレスのフロントマスクもけっこう見慣れてきたけど、いずれ無味無臭テイストか悪役サイボーグ顔か、ちょっとスマートに過ぎて逆効果みたいなクルマも少なくない。だからこそ、来年からデリバリーが日本でも始まるボルボEX30が異彩を放つワケだ。
まず北欧神話の軍神の「Tハンマー」、つまりマーヴェル・コミックのマイティ・ソーと同じ由来をもつ、ボルボのヘッドランプ・シグネチャーは健在だ。大き目ピクセルになって現行のXCシリーズ・Vシリーズ・Sシリーズより、モダンな印象だ。加えてフロントマスク面もド垂直ではなく、下が緩やかに受けとめる仰角で、左右とバンパー下部のスリットもあるせいか、不思議と冷た過ぎない表情を感じさせる。とはいえバッテリーやインバーターのサーマルジャケットを冷やすための、機能ディティールでもある。
そこにボンネット両端からフェンダーの峰にかけてのプレスライン、ボディサイドの大胆な凹部の削り込みが、全体のフォルムをきりっと引き締めている。ウィンドウの天地は狭く、ウエスト下は長く。シンプルかつコンパクトなのに、スタイルがいいとはこのことだ。
しかし、ボルボEX30のさらなる特徴が顕われているのは内装だ。再生ポリエステルを北欧起源の針葉樹オイルで処理した、人工皮革かネオプレーンのような「ノルディコ」、そして織り地を見事に表現した「ピクセルニット」の質感は、ペットボトルのリサイクルとは思えない温かみがある。
何より驚かされるのはダッシュボード側、12.3インチのセンターディスプレイを真ん中に据えたシンプルさだ。しかも加飾パネルは、成長の早い亜麻の繊維を張ったフラックス、あるいは窓枠サッシを砕いて人口ストーンのように見える再生プラスチックだ。