的確な状況判断と先を読む洞察力が上手な運転の秘訣!
まずは某輸入車の広報からタクシードライバーに転職し、現在は大手エネルギー会社の広報として活動しているA氏の発言。「以前は右左折のずいぶん手前からきちんとウィンカーを出すのが普通でしたが、ここ3年ほどは流行なんでしょうか? 曲がる寸前で数回ウィンカーを点滅させるドライバーが目立ちます。これは本人はカッコいいと思ってやっているんでしょうが、じつはかなり危険な所作だと思います。とくに左折時にウィンカーを点滅させないと、歩道寄りを走っている自転車を巻きこむ可能性がありますから」と、注意喚起します。
また、信号待ちでは停止線のかなり手前で停まったり、前のクルマとの車間を空け過ぎて停まったりするドライバーにも苦言を呈します。「おそらくハイブリッドカーなどが停止寸前でアイドリングをストップするから、想定していたところよりも手前で停車してしまうんでしょうね。その分だけ車列が長くなり、渋滞を誘発する可能性が高くなりますから、停止線や車間を守って停止したほうがいいでしょう」と語るA氏。
こうした何気ない所作(運転ミス)は、自分のまわりの状況をしっかり把握できていないことによるミスなのです。前走車、後続車、対向車、そしてバイクや自転車の動きを見極めて、ウインカーを早めに出すなどして自分のドライビングの意思をまわりに明確に伝えれば、おのずとスムースかつスマートな運転になるのです。
そして、そのスマートな運転によって、事故やトラブルを回避できるのです。また、自分と自分のクルマの状態をきちんとチェックしておくことも大事。とくにスイッチやレバー、ペダルといった操作系パーツとその操作方法を把握しておけば、冒頭のペダルの踏み違いによる「暴走」を防ぐことになるのです。
事故やトラブルの回避といえば……、長年にわたって肉や野菜などを都内の飲食店に配達してきたドライバーのT氏のアドバイスが効果的。「混雑した都会の街なかを早くまわるには、事故やトラブルを絶対に回避しなければいけません。そのためには常に先の先を読んだ運転が必須です。自分のクルマの4〜5台前まで見渡し、さらにはいろいろとシミュレーションしながらドライブするんです。たとえば、『左を走ってる黒いベンツはさっきから車線変更を繰り返しているから、近づくのはやめよう』とか、あるいは『3台前のトラックは中央車線寄りを走行しているから、もしかして急に右折するかもしれないな』とか」
先の先を読んだ状況判断はスムースな運転の基本だが、車種やそのクルマの挙動によって状況をシミュレーション(想像……妄想?)をすることは、より効果的な裏技といえるでしょう。「どんな人が乗っているのか?」「その人はどうしたいのか?(早く行きたいのか?)」と想像して運転すれば、冒頭に述べた煽り運転を避けることができるでしょう。
また、日本各地の名所や峠道を記事にするために高速道路を走る機会が多いモータージャーナリストに、高速道路をスマートかつ安全に運転するコツをうかがってみました。すると「工事などで車線規制があってどちらかに合流しなきゃいけないシーンがままあります。その場合、規制のかなり手前から合流しようとするドライバーが少なくありませんが、あれは良くありませんね。どのクルマも車線規制ギリギリで合流するように心がければ、どちらもスムースに進んで渋滞しなくなるんですけどね……。ヨーロッパでは常識ですよ。ただ、空いている状況での合流は、手前でもOKの場合もあります。手前で車線変更して、さらにもうひとつ向こうの車線に移動すれば、後続車のためにスペースを空けることができますから」と、少しばかり高等な裏技を伝授してくれました。
高速道路における合流や車線変更でも、先に述べた「的確な状況判断」と「先を読む洞察力」が大切なのです。そうした運転をすることによって、おのずとクルマの流れに乗ることができ、ときには流れをリードすることもできます。すると、自分自身「おっ、いまの俺ってスマートに運転できているな」と実感できるでしょう。そのとき、まわりからは、あなたの運転は「キビキビしてる!」と見えるのです。