この記事をまとめると
■大きな箱のようなものが路線バスの屋根の上にはある
■路線バスの屋根の上の箱の正体はエアコンユニット
■ノンステップバスが多い路線バスは床下のスペースが限られるため、ルーフ上にエアコンユニットを設置している
あの箱はなくてはならない装備だった!
一般的な乗用車では、ルーフ上に存在するものといえばラジオやテレビなどを受信するアンテナ程度で、ガラスアンテナなどを採用したクルマともなると、ルーフ上がすっきりとしているものがほとんどです。
しかし、日ごろ目にすることの多い路線バスでは、屋根の上に何やら大きな箱のようなものが存在しています。マイクロバスや観光型のバスでは比較的スッキリしているものが多いものの、路線バスのルーフ上にはもれなく搭載されていると言っていいでしょう。
じつはこの箱のようなものの正体はエアコンなのです。バスのエアコンは、一般的な乗用車と同じエンジンの動力で作動させる直結型と呼ばれるもののほか、過去にはエアコン用にエンジンを搭載したサブエンジン型と呼ばれるものも存在しました。
サブエンジン型はエンジンルームや床下に搭載されることが多く、屋根の上は換気扇や通風孔が装備される程度の外観となっていましたが、騒音や環境対策の観点から、このサブエンジン方式のエアコンを搭載するバスは、ほとんど見かけることがなくなりました。
過去には、メインのエンジンの出力が低かったこともあり、とくに高速道路や山道を走る観光型のバスに多く見られたサブエンジン方式ですが、メインエンジンの出力特性などが向上したこともあり、エンジン直結型が主流となっています。
路線バスでは比較的目立つ存在のエアコンユニットですが、観光型では高速走行などが多いため、空力に配慮した形状になっており、路線型のように目立った形状ではないものの、同じような装置がルーフ上に装備されているのが特徴です。
また、マイクロバスでは、同じエンジン直結型でも小さいエアコン装置で済むことから、床下やエンジンルームなどに設置できるため、ルーフ上には換気用ダクトが並ぶ程度で比較的スッキリしています。
路線バスは、バリアフリーの観点からもノンステップバスが多く、床下やエンジンルームのスペースが限られることもあり、ルーフ上に設置しているという理由もありますが、ほかにも広大な車内を快適に保つため、出力の大きいエアコンを搭載していることも理由に挙げられます。
観光型に比べ、内装の断熱性が低い路線バスでは、停留所ごとのドア開閉などもあり、出力の大きいエアコンが必要となります。どうしても限られたスペースに搭載するには限度があり、ほとんどの車両がルーフ上に設置しているのです。
ほかにも、路線バスのルーフ上に装備されるものといえば、CNGバスなどでは燃料用のボンベを搭載しているモデルがあるほか、都内でも多く見かけるようになった燃料電池バスには、水素用のボンベやFCスタックをルーフ上に搭載しています。
限られたスペースを有効活用するためだけではなく、路線バスならではの事情も屋根の上から垣間見えるのです。