EV普及にはもう軽に頼るしかない!? セカンドカー需要の高い軽EVのラインアップ拡充が今後のカギだった (2/2ページ)

軽EV普及がEV社会実現の切り札だ

 EV販売ランキングの内、1位のサクラが圧倒的に多く、国内で新車として売られるEVの約40%を占める。姉妹車の三菱eKクロスEVは、サクラに比べると売れ行きが低調だが、EVのなかでは堅調な部類だ。EVの販売は総じて少ないが、唯一の例外として、軽自動車だけは売れ行きを伸ばせる余地がある。

三菱ekクロスEVのフロントスタイリング

 また、国内で新車として販売されるクルマの内、いまは軽自動車が40%近くを占める。そして、軽自動車の使われ方を見ると、一戸建てに住む複数のクルマを所有する世帯が、買い物など短距離移動のために利用することが多い。

日産サクラの走行写真

 この所有形態が、EVとの親和性を高めた。EVには充電設備が必要で、マンションなどの集合住宅では所有しにくいが、一戸建てに住む世帯であれば設置しやすい。「EVは1回の充電で走行できる距離が短い」という批判についても、複数のクルマを所有する世帯なら問題になりにくい。遠方まで出かけるときは、併用しているファーストカーの小型/普通車を使うからだ。EVの軽自動車なら、混雑した街なかや狭い裏道でも運転しやすく、買い物などに使うセカンドカーにピッタリだ。

 逆に3ナンバー車は、買い物など街なかの移動に適さず、ファーストカーの使用領域に入る。EVであれば1回の充電で走行できる距離が問題にされ、大型の駆動用電池を搭載するから価格も高まる。車両重量も増して、さらに高出力のモーターと大容量の駆動用電池が求められ、拡大と価格高騰の悪循環に陥ってしまう。3ナンバー車では、集合住宅のユーザー比率も高まるから、充電環境も課題になる。

スバル・ソルテラの充電中の写真

 日本では、総世帯数の約40%が集合住宅に住むため、もともとEVの普及には困難が伴う。この使用環境で普及を図るなら、軽自動車から始めるのが効果的だ。軽自動車のEVを増やし、それに伴って充電環境も整備され、小型/普通車の普及も促される。今後は軽商用車の新型EVも発売されるから、徐々にではあるが、普及が進んでいくはずだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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