アメリカで人気なように見えるホンダがいま危ない!?
現地事情通は「トヨタでは一部スポーツ車などがガソリン車のみになり、ほかのモデルについては、HEV専用やHEVをラインアップしているのに対し、ホンダはHEVのラインアップでは手薄となっており、販売面への影響を懸念する声も聞かれます」と話してくれた。
ホンダのアメリカでのラインアップをみると、乗用車ではシビックセダン、同ハッチバック、アコードセダン、シビックタイプRがラインアップされている。SUVではHR-V、CR-V、パイロット、パスポート、そしてミニバン&トラックではオデッセイとリッジラインがあるのだが、HEVがラインアップされているのはCR-Vとアコードのみとなっている。
FCEVのラインアップはなく、BEVはGM(ゼネラルモータース)と共同開発した「プロローグ」が本稿執筆のタイミングでは間もなく発売予定となっている。
そもそも南カリフォルニアだけで見ると、もともとトヨタ車ではカムリやRAV4が販売の中心となっており、いまも街なかで見かけることが多いのだが、ここへきてダウンサイズニーズが高まっているのか、カローラセダンやカローラクロスが目立ってきている。
しかも直近で購入したと思われる新車では、カローラセダンやカローラクロス、そしてカムリやRAV4でもHEVを多く見かけるのである。もちろん、この4台以外のトヨタ車でもHEVが目立ってきているのである。
そのなかで、ホンダのアメリカでのラインアップをみると、HEVのラインアップが限定的となっており、とくにカリフォルニアの最新販売動向をみると、それが不安要素にもなっているのである。
日本ではZR-VにはHEVがラインアップされているが、アメリカでもHR-Vという車名で販売されているもののHEVは設定されていない。
ホンダはメーカーとしては、すでに「2035年までに中国でのEV販売比率を100%にする」とか、「2040年までに世界販売する車種をすべてBEVもしくはFCEVにする」といった報道が相次いでおり、今後、BEVやFCEVに軸足を置いていくように見える。
ただ、アメリカ(とくにカリフォルニア)でのHEVの再評価の動きや、EUでは2035年以降もICE(内燃機関)車の継続販売が認められ(PHEVがメインとなりそうだが)、2035年以降はICE車の販売を禁止するとしていた中国も、純粋なICE車以外にHEVやPHEVの販売もOKにするとなっている様子を見ると、日本市場だけではなく海外市場でもHEVを積極的にラインアップすべきだと考えるのだが……。
また、全体の8割にも及ぶSUV自体のラインアップでも、HEVは少々手薄に見え、CR-Vに頼り切っているように見えるほど、ほかのモデルの存在感が希薄に見える。トヨタのハイランダーのライバルともいえるパイロットがガソリンエンジン車のみというのも結構キツイという話も聞いている。そもそもアメリカで抜群のステイタスを誇り、消費者のトレンドをつかむのが得意に見えたホンダだが、そのアメリカ市場での雲行きが怪しくなってきているように見える。