この記事をまとめると
■日本の自動車メーカーは商用EVモデルの市販化に力を入れている
■商用車をEV化することで、労働面の環境改善に効果があるとされている
■コストが命の商用車界でEVが普及すれば乗用車の世界でもさらにEVが広まるかもしれない
2023年以降、商用EVが続々と登場する
来年にはホンダから軽商用EVのバンが発売になる予定だ。また、トヨタ、スズキ、ダイハツの3社共同による軽商用EVバンも、「ジャパンモビリティショー」で公開された。すでに、HWエレモから軽商用EVバンが発売されている。しかし、じつは三菱自動車工業がミニキャブMiEVを2011年に発売しており、バンだけでなくトラックも市場導入してきた。また、日野自動車や三菱ふそうは、EVトラックを販売している。
近年、商用EVが次第に注目を集めるようになったのは、働くクルマとして、経済性や利便性が見直されはじめているのに加え、労働環境の改善にも寄与するためだろう。ただ、これまでは車両価格が高く、導入が進みにくい面があった。
EVであれば当然だが、モーター駆動のため静粛性が高く、出足の加速がよく、余計なアクセルの踏み込みが不要となるため、運転がラクになる。回生を活用すれば減速時のペダル踏み替えも減る。
以上のようなEVならではの特性から、運転に関わる労働環境が改善されることに気づくだろう。
一般に、商用車は遮音や防音の機能が十分でなく、またエンジン性能も必ずしも高くないため、発進・加速で余計にエンジンを吹かす必要があった。それによってエンジンの回転が高まることで騒音が大きくなるだけでなく、遮音材などが手薄なためタイヤ騒音なども室内に入りやすく、うるさくて疲れやすいクルマとなっていた。それでいながら、仕事で使う以上、乗用車に比べ長い時間クルマでの移動を余儀なくされやすく、長時間にわたって騒音に悩まされなければならない。EVなら、それらが改善される。
また、仕事を終えたあと、翌日の移動に備えてガソリンスタンドへ給油しに行く手間も省け、配送拠点などで充電できれば、仕事が終わればすぐに帰宅できる。翌朝出社すれば、満充電で出発できるという簡便さである。
つまり、EVの特性は商用車こそより活かされ、仕事を快適にこなすことができるわけだ。疲れが少なければ、仕事の能率も上がるのではないか。
床下に駆動用バッテリーを車載し、排気管や燃料タンクなども不要になることで、より低床な荷室とすることもでき、それによって荷物の積み下ろしでの乗り降りが楽になり、長尺モノも載せやすくなる。
そうしたなか、三菱のミニキャブMiEVトラックが販売に苦労したのは、4輪駆動がなかったためだ。フルタイム4WDといった高度な機構でなくても、簡易な方法で4輪駆動が実現できれば、軽商用EVの利用者はさらに増えていくのではないか。
商用車という原価に厳しい分野でEVを実現できれば、乗用車にはより適正な価格で魅力ある車種を構成することができるようになっていくと思う。