残価設定ローンの利用増で価格アップが気にならない客も多い
輸入ブランドでは単純値上げでも数十万円アップと言うのは珍しくないが、日系ブランドでも数は少ないものの単純値上げを行っても、数万円レベルに抑えられている例が多く、いまどきの資材高騰などを背景にしたコストアップを十分に吸収できるレベルには至っていないケースが多い。いままでの日系ブランドでは、人気の日産エクストレイルが現行型デビュー後新規受注停止を行い、その後生産を再開したときに今回のカローラクロスのようなレベルの価格アップが行われて話題になった。
このときに日産の販売現場をまわると、セールススタッフも意外に感じるほど価格アップを意識するお客は少なかったとのこと。今回のカローラクロスはパワートレインの変更といった改良を伴っているので、価格アップを過剰に意識する購入希望客をそれほど気にする必要はないとの判断があったのかもしれない。
また、ここ最近は現金一括払いではなく、残価設定ローンを利用した新車購入の割合が高まっており、残価設定ローンを利用すれば、カローラクロスは人気車種(新型エクストレイルも)なので、設定残価率も高めとなり、月々の支払額ベースで見ればさらに価格アップを意識しない購入条件になるだろう。
※写真は改良前のカローラ クロス
自動車に限らず、昨今の生産コスト上昇は尋常なレベルではない。消費者の間ではすでに食品など日用品の値上げもやむなしとして受け入れられている。新車にあっても、コストアップを企業努力で吸収することはもはや厳しい。輸入車は生産国からの海上輸送費などもあるので、単純な値上げに踏み切らざるを得ないのだろうと考えるが、日本車については、モデルチェンジや改良などのタイミングでコストアップ分も反映した価格設定にするといった流れが、今後も多くなっていきそうである。