4億円で少年の頃の夢が手に入る
いずれにせよ「……搭乗して、操縦してみたい!」と強烈に思わせるアーカックスなわけだが、ひとつ気になるのは安全性についてである。稼働中にロボットが転倒してしまい、コクピット内で骨折でもした日には「単にロボットで遊んでたときのケガなので、労災は適用されません!」みたいなことになるだろうし、それ以前に、走行モードで楽しんでいる際に誰かを轢いてしまっては、まったくシャレにならない。
だがそこについても、当然ながら十分な配慮はされているようだ。
全体としての安全対策には国際規格(ISO/IEC Guide51・ISO12100)に沿ったリスクアセスメントが実施されており、コクピット内と脚部先端には非常停止スイッチを配置。関節のオーバーランに対してはソフト/リミットスイッチ/ハードストッパーの3段階で保護していて
非通電時には保持ブレーキにより姿勢が保持されるという。
また、もっとも気になる転倒安定性については「建設機械と同等の転倒安全性(ロボットモード:20°、ビークルモード:30°)」が確保されているとのことで、本体が5度以上傾いた場合にシステム停止となり、左右前脚シリンダーの長さの差が閾値を超えた場合にもシステムが停止するという。
そして、「コクピットに閉じ込められちゃいました……」みたいな事態を回避するため、通常時は電動シリンダーにより開閉するハッチは、緊急時にはピンを抜くことで手動にて開閉可能。また、転倒などの理由でメインハッチが開かなくなった場合には、コクピット後方の脱出ハッチから外に出られるとのことだ。
こうなってくると、ぜひ1台というのか1機というのかわからないが、とにかくアーカックスを購入して、自宅にて「マジンガーZごっこ(世代によってはガンダムごっこ、あるいはエヴァごっこ)」をやりたくなるわけだが、2023年9月に先行受注が始まった初期ロットの価格は、なんと4億円であるという。
……よく考えたらアーカックスの購入には本体価格だけでなく、その潜在能力をフルに開放できるだけの「広大な庭」みたいな場所も必要となってくるため、アーカックスの初号機を購入してマジンガーZごっこができるのは、ビル・ゲイツさんとか故マイケル・ジャクソンさんぐらいの超絶大金持ちに限られるのだろう。
しかしそれはそれとして……欲しいぜ、アーカックス!