いまどきのクルマが高いのは安全装備によるもの? 先進運転支援システムの値段とは (2/2ページ)

ADAS機能のコストは量産化によって大幅に下がっている

 一方で、自動車アセスメントの観点で、それまでの衝突安全技術に加えて、予防安全技術に対する試験項目が加わるようになった。いわゆる、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)について、歩行者や自転車、さらに夜間での対応など、予防安全技術の評価項目が段階的に引き上げられていったのだ。

 こうして、自動車メーカー各社は、ADAS(先進運転支援システム)を高級車のみならず、軽自動車まで標準装備するようになる。さらには、高齢ドライバーによる”アクセルとブレーキの踏み間違い”が原因の事故増加が社会問題化したことも、多くのモデルでのADAS(先進運転支援システム)標準装備化を後押しすることになったと言えるだろう。

プリクラッシュブレーキをテストするダイハツムーヴ

 そんなADAS(先進運転支援システム)のコストについては、前述のスバルADAの時代と比べれば、かなり低減した。自動車メーカー各社が多様なセンサー技術や画像処理技術を用いて、量産効果によってコストが下がったからだ。

 それでも軽自動車やコンパクトカーなど、そもそも新車価格が抑えられてきたモデルにとっては、ADAS(先進運転支援システム)装着コストはユーザーにとって割高に見えることもあるだろう。

 たとえば、軽トラックのダイハツ「ハイゼットトラック」の場合、最廉価のスタンダード(スマートアシフト非装着車)が90万2000円で、スタンダードは96万8000円だ。これが、より高度なADAS機能を有するモデルになれば、ADAS機能の差分での価格差は大きくなる。

ダイハツ・ハイゼットトラックのフロントスタイリング

 たとえば、自動運転レベル3量産車となった、ホンダ「レジェンド」の場合、2022年1月に国内販売を終了した通常モデルが724万9000円。対して、レベル3機能搭載車は、1100万円でリース販売となった。

 国は、ADAS機能について当面、自動運転レベル2(ADASの領域)の普及を進めるとしており、アイサイトXや日産プロパイロット2.0などの量産効果が上がり、通常モデルとの価格差が縮小していくことになるだろう。

日産のプロパイロット2.0の機能イメージ

 運転の主体をシステムが担う自動運転レベル3になると、ADASの領域を超えることから、通常モデルとの価格差が近年中に一気に縮小することは難しいかもしれない。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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