あっという間に7時間が経過!
この8周の間でベストラップを記録してピットイン。以降、チームメンバーのドライブに任せ、筆者の2回目スティントまで待機。メンバーと時間配分的に次の出番はおおよそ3〜4時間後くらいだろうか。
この間は、ピットの整理やピットボード出しなどを行い、チームの運営を手伝う。それにしてもこの日は暑い。7月の中旬で真夏もいいところ。じっとしていても汗が出る。けれどこの感覚、まさに青春ではないか! 私自身はスポーツ好きで、外遊びが好きなのでこうした環境は慣れっこだし歓迎だ。
なお、一緒に参戦している石田は96号車の担当で、こちらは燃費重視のセッティングとのこと。故にタイムは稼げないのだが、安定してレースを進める。ちなみにこの号車には、自動車メディアで腕を振るう、クルマを知り尽くしたベテラン編集や、レースに何度も参戦するモータージャーナリストも所属しているだけあって死角はない。大人の余裕が漂っていた。
97号車はカート初体験のメンバーや、クルマ系の人気女性YouTuberが所属する煌びやかなチームとなっていた。初参戦の人ばかりか、カートすらも初めてといったドライバーも多いが、クルマ好きというプライドからか、こちらも安定して周回を重ね、レースを着実に進めている様子。合間を見て、VLOG(自撮り動画を撮影しつつリポートや実況をする手法)で現場を撮影している様子なども観察したが、非常に手慣れていたのが印象的であった。
何度も数多くのYouTuberを現場で見てきているが、彼らの動きなどにはいつも感心させられる。何せ筆者井上は、雑談は超得意な、いわゆるおしゃべりなのだが、カメラがまわると木偶の坊となるからだ。
と、手伝いつつピットの様子をうかがい、筆者の2回目スティントが近づいてきた。前回のスティント終了から3時間後になるのだが、これがまたあれじゃないこれじゃないとバタバタしているとあっという間に過ぎる。
2スティント目になると、朝9時のスタートとは打って変わって灼熱がドライバーを攻撃してくる。走っていれば多少は涼しいのだが、それにしたって今年の夏は異常だった。「俺のミスじゃなくて暑さでエンジンが壊れるんじゃないか?」と、マシンの心配をしたくなるほどだった。
とか余計なこと考えつつも、まずまずのラップタイムを維持して無事に2度目の走行は終了。今年はメカトラブルもグラベルに突っ込む惨めな思いもしないで済んだとひと安心。あとはチームメンバーが無事にチェッカーを受けるのを待つだけだ!
そしてスタートから7時間後の午後4時、ポールスタートを決めた我々95号車は、最終的に51位でチェッカーを受ける形となった。ノートラブルでの完走である! 石田が乗る96号車は53位。途中、95か96かのデットヒートを繰り広げるシーンもあった。97号車も大きなトラブルを起こすことなく安定して走行を続け、結果81位であった。これにより、全台無事に完走することが叶った。
この達成感は耐久レースならではの醍醐味でなんとも言えない感動がある。大人になると、学生時代にめんどくさかった”チームで動く”という経験は本当になくなる。好きなことを通じて再びこういった経験ができるのは本当に嬉しいと、筆者は思っている。
その後、表彰式内で先述のポールポジション賞の表彰やシャンパンファイト(スパークリングウォーター)によるフィナーレなどがあり、無事に2023年のK-TAIも終えることができた。なお、ポールポジション賞の表彰式ではくじを引いてくれた田中くんに登壇してもらった。貴重な経験をありがとう!
と、ここまで「もてぎKART耐久フェスティバル“K-TAI”」の第2回目参戦記をリポートさせて頂いたが、このレース、カートを1台用意して、決められた装備さえ揃えれば誰でも気軽に参戦できるのが大きな魅力だ。ひとりで全部用意するのは大変だが、会社や友達同士でカンパを募れば、クルマを用意するより遥かに安くレースを楽しめる。カートスーツを始めとした装備も、レースで使うようなFIA公認装備と比較すれば半額程度とかなりリーズナブル。
マシンも、新車は100万円程度する場合もあるが、中古車も数多く出まわっており、ミッションも不要なカートなのでメンテナンスも比較的容易だ。積載車も不要で、ハイエースのような箱バン1台あれば十分だ。タイヤだって、交友関係が広がれば資金が潤沢なチームから中古を分けてもらえる可能性だってあるし、そこで輪が広がればもっと参戦コストが抑えられるかもしれない。もちろん、一緒に走る仲間が増える可能性もある。
それにこの「K-TAI」は、モビリティリゾートもてぎのフルコースをカートで7時間も走れるのだ。待機時間はチーム内の交流、ドライバー交代やメンテナンス、ゴール後の撤収など、青春時代に置いてきたあの感動を、クルマを通じて味わえるはずだ。
クルマ好きの人は、ぜひ仲間を募って来年参戦してみてはいかがだろうか。そして来年、ぜひ筆者が走るクラブレーシングと戦えることを楽しみに待ちたいと思う。
●協力:株式会社ホンダファイナンス/関彰商事株式会社/本田技研工業株式会社/ホンダモビリティランド株式会社/株式会社ホクビー/(有)ケイズカンパニー