「2024年問題」の打開策となるか!? いま政府が進める「モーダルシフト」とは (2/2ページ)

バトンタッチすることで時間外労働とCO2を削減

 下のグラフにもあるが、1トンの貨物を1km運ぶときに排出されるCO2は、トラック(営業用貨物車)が216gであるのに対し鉄道は20g(およそ1/11)、船舶は43g(およそ1/5)だけですむ、という試算も出ている。つまり、モーダルシフトに転換することで、鉄道利用で91%、船舶利用なら80%のCO2削減ができるわけだ。また、フェリーにトラックごと乗り込むことで、海路を航行している時間はドライバーは休息することができ、かつその間はトラックの排気ガスも発生しないというメリットもある。

国土交通省ホームページ「モーダルシフトとは」より抜粋

 政府では、今後10年程度で船舶の輸送量を5000万トンから1億トンに、鉄道では1800万トンから3000万トンにそれぞれ倍増させるという目標を掲げている。これを実現するために、トラックと船舶、鉄道が共同で使えるサイズのコンテナの普及も促進。事業者を支援するとしている。

 また、このモーダルシフトはすでに大手物流会社を中心に推進されており、フェリーやRO-RO船にトレーラーのみを積み込み、下船先で別のトラクタがその台車を納品先まで運ぶ「ドレージ」といったシステムが多く導入されている。そういった船舶利用によるモーダルシフトを進めるため、現在国交省では関東圏と関西圏を結ぶ「東海道フェリー」という構想も検討されている。その発着地は関東側が東京湾(神奈川県)、関西側が伊勢湾(三重県)と想定されている。

鉄道のイメージ

 フェリーやRO-RO船を利用したモーダルシフトは船の運行スケジュールに合わせなければいけない(鉄道も同様だが)という制約がともなうが、長距離輸送においては人的、コスト的にもそれに見合う高価は期待できるはずだ。東海道フェリーの実用化への動きにも、今後期待したいものだ。


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