使い続けても問題ないが、多少の注意が必要
■パンク修理したタイヤの耐久性や安心度は大丈夫?
結論としては「普通に走る分には問題ありません」という見解がほとんどのようなので、長時間かっ飛ばしたり、スキール音が出るほどタイヤを酷使するような走り方をしなければ、ほぼ大丈夫と思って良さそうです。
高速の走行に関しても、刺さった破片がワイヤーの骨格を痛めていなければ強度が落ちることはないと思いますが、実際にダメージを負っているかどうかを確認する方法はないので、修理したタイヤで高速を走行する際には慎重に運転したほうがいいと思います。
それでも心配が残るということであれば、前輪より後輪に装着することで、万が一バーストしてしまった際にも、ハンドル操作が不能になる確率を下げることが出来ます。
一方で、タイヤを激しくたわませるような運転をした場合は、修理箇所に大きな力が掛かって接着部が剥がれる可能性が高くなりますし、タイヤ表面の温度も高くなるために接着箇所の劣化を促進させる原因にもなるので、激しい運転はできるだけ避けたほうがいいでしょう。
そうして接着部が劣化することで、なかの高圧の空気が留められなくなって、わずかな隙間から空気漏れが起こってしまったというケースを何件か聞いたことがあります。いわゆるこれは「スローパンク」という状態で、数時間から数週間かけてゆっくり空気が抜けていくので気付きにくく、「なんかハンドルが重いな……」という症状が出て初めて気付くというケースも少なくありません。
そうして一度修理をおこなった箇所から空気漏れが起きてしまった場合は、再度その箇所を修復するというのは難しいようです。一時的に漏れが塞がっても、少し経ったら再発してしまう可能性が高いでしょう。
このエア漏れをできるだけ起きないようにする方法もあります。それが「内面修理(裏貼り)」と呼ばれる方法です。穴にプラグをネジ込んで塞ぐ方法(外面修理)に加えて、その名前のとおりにタイヤの内側の面にパッチを当てて完全に穴を塞げるので、エア漏れの心配はほとんどなくなります。
この方法がパンク修理としてはベストと言えますが、デメリットがふたつあります。ひとつはタイヤをホイールから外さないと施工できないこと。施工がおこなえるショップが限られるので、施工可能なところを探す必要があります。もうひとつはタイヤを外す工程が必要なため、費用が高くなることです。外面修理が1500円〜という価格に対して内面修理は3000円〜と倍くらいの価格になりますので、「そろそろ交換時期かな?」というタイヤに対しては考えてしまう価格。しかし、まだ履き替えたばかりで長く使いたいというときには、こちらの内面修理が有効になるでしょう。
■パンク修理剤を使ったときの寿命は?
パンクの修理の方法には、上記のゴムのプラグを接着して接合するパンク修理キットを使うほかに、エアバルブから「シーラント」という充填剤を注入してパンクの穴を塞ぐ方法もあります。近頃はスペアタイヤを無くしてこの修理キットを積むクルマも増えているようですが、この方法で修理した場合の耐久性はどうでしょう?
このシーラント方式を使った場合は、出来るだけ早くタイヤ交換することをオススメします。シーラントとはゴム成分や接着剤が混合された特殊な液で、タイヤの内側全体に広がってコーティングすることで、釘などによる小さな穴を塞いでくれます。しかし粘度の高い液体で薄くコーティングされているだけなので、穴を塞ぐ効果はプラグ接着式に比べると劣るようです。
そしてその特殊ゴムの成分が補修箇所に染みこんでいるので、あとでプラグ接着補修をし直すことも出来ませんし、タイヤの内側とホイールにべったりコーティングが付着しているので、タイヤを交換する際にそれを除去するのもかなりの手間になります。
そのため、後々のことを考えると、どうしてもやむを得ない場合を除いては修理剤の使用はできるだけ避けたほうがいいと思います。
最後に、これはあくまでも自分の経験上の話ですが、以前に乗っていたR32GT-Rで10年に2回ほどパンクに遭い、どちらもパンク修理キットを使って接着補修しました。そのタイヤで高速道路で長距離をハイペースで走り続けたり、サーキットでスポーツ走行したりしましたが、所有していた期間にはタイヤの不具合は発生しませんでした。その経験から、修理したタイヤでも普通に使って問題ないというのが個人的な見解です。