付帯作業を無償で行わせる業者も
この荷物の積み下ろしや荷の状態を確認する検品作業については、自分の仕事と割り切っているドライバーは多い。なかには手積み手降ろしの「バラ積み」こそトラック乗りの達成感であり、やり甲斐だと豪語するストイックなドライバーもいる。
しかし、彼らに仕事を発注する荷主のなかには、荷物の仕分けやラベル貼り、倉庫内の荷物の入れ替えや棚卸し、商品陳列など、本来荷主側で行なわなければいけない「付帯作業」まで指示する業者もいる。しかもこの作業は、多くのドライバーが無償でやらされているという。これが長時間・低賃金のトラック業界の構図となり、若いドライバーが入ってこない、育たないという人手不足の現状も生み出している。
2024年4月には働き方改革関連法の物流・運輸業界での本格適用が行なわれ、ドライバーの時間外労働が制限される。その一環として国土交通・経済産業・農林水産の3省は、今年5月に「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者が取り組むべき事項」の原案を提示。
このなかで「荷主事業者は、荷待ち、荷役作業等にかかる時間を原則として約2時間以内とする」ことを自発的なルールにして、順守を求めていくことを打ち出したほか、トラック予約受付システムの導入、パレットの活用、物流システムや資機材の標準化といった推奨事項も盛り込んでいる。また、物流事業者に対し、運送契約にない荷役作業などをさせないといったルールも提示されている。
これに先立ち、2019年6月には国土交通省によりトラックドライバーの荷役作業・附帯業務の記録義務付けが開始された。対象車両は車両総重量が8トン以上または最大積載量が5トン以上のトラック。契約書に実施した荷役作業のすべてが明記されている場合は、所要時間が1時間未満なら荷役作業についての記録は不要となっている。
このように車両運送だけでなく荷役などトラッカーの仕事をルール化することで、安全面、労務面でのコンプライアンス確保や、取引環境の適正化を促進していくという。