この記事をまとめると
■経済性だけで言えば長く使える新車を購入して故障するまで買い換えないのがお得
■車両の保証期間になっている5年または10万kmを走行するとパーツの劣化が目立つ
■初度登録から13年を超過すると税金が上がるので、その前に乗り換えるのもアリだ
クルマってどのタイミングで乗り換えるのがオススメ?
損得勘定に基づけば、商品は売買する回数が増えるほど、出費も高まっていく。購入時、売却時ともに、業者の利益が上乗せされるからだ。
したがって自分のニーズを考えた上で、長く使えるクルマを新車で購入して、消耗品以外の高額な部品交換や故障が目立ち始めるまで使うのが得策だ。
部品交換や故障が生じるまでの期間は、車両の耐久性、1年間の走行距離、運転の仕方を含めた使用状態、保管の方法などによって異なる。
そのため、一概にはいえないが、車両の保証期間は、エアコンやカーナビなどの一般保証が新車時から3年間または6万kmとされる。エンジン、AT、ステアリングシステム、サスペンションといった走行に関する部分の特別保証は、5年間または10万kmだ。
この保証期間から考えても、おおむね5年間、あるいは10万kmに達すると、次第に故障が増えてくる可能性が高いと考えられる。
一般的に、パーツの交換に要する費用は、8万km前後に達すると増え始める。たとえばブレーキパッドの交換は4万〜5万kmが目安といわれるが、10万kmに近付くと、ブレーキローターも摩耗してくる。たとえば、少し強めにブレーキングしたときなど、ステアリングホイールに微妙な振動が伝わってくる。これはブレーキローターが摩耗している可能性が高い。
また、初度登録(軽自動車は届け出)から13年を超えると、自動車税や自動車重量税が増税されてしまう。古いクルマのユーザーには、公共の交通機関が未発達な地域に住む年金暮らしの高齢者も多い。コロナ禍により所得が減って新車に乗り替えられなかったり、昨今の納期遅延で、納車を待つ間にいままで使ってきた車両が13年を超えるユーザーもいる。したがって自動車関連税の増税は悪法だが、これを平然と続けている。可能であれば、この不愉快な増税が始まる前に乗り替えるのが良いだろう。
そうなると、初度登録されてから9年目、あるいは11年目の車検を受ける前に、乗り替えるのが得策になる。1年間の走行距離が8000kmとすれば、積算で7万kmから9万km程度だ。2012〜2014年式の車両を使っている場合、2023年は、ムダなく新車に乗り替えるのに最適な時期となる。
このように、経済性を重視してクルマを長く使うなら、リセールバリュー、つまり数年後に売却するときの価値にこだわる必要はない。9〜11年も使えば、特殊な車種を除くと、売却額はいずれも安くなるからだ。リセールバリューにこだわっても、あまり意味はない。
したがって、ボディカラーなどは好きな色彩を選べば良いが、進歩の著しい安全装備や運転支援機能には注意したい。現時点でこれらの技術が乏しい車種を買うと、9〜11年後には、相当な時代遅れになっているからだ。安全装備や運転支援機能の基本設計が新しい車種を新車で購入して、長く大切に使うのが得策になる。それはユーザーだけでなく、環境、そして愛車にも優しいカーライフだ。