悪徳中古業者が制度を悪用する手口とは
ところで、この「いつだって、何回だって」車検を受けられるというシステム、悪徳業者がずいぶんと使いこなしていたことご存じでしたか。何度も車検を受けて走行距離を上書きすることで、車検証の実走行を少なく見せるという手口。つまり、クルマの走行距離を改ざんして車検を受けることで1回前の走行距離を消し、続けざまに2回目の車検を受けたらさらに前回の距離が帳消しになるというもの。もっとも、2017年に「最大走行距離」が記載されるよう法制化されたため、こうした手口は使えなくなりました。
が、悪質な業者というのはあとを絶たないもので、仮に最大走行距離が3万キロで、そこから車検までの2年間に3万kmを走って、合計6万kmになっていたとしても、車検前にメーターを改ざんして3万5000kmにしていたとしたら、これ見破るの難しいですよね。自社で車検を担う中古車販売店が、メーター改ざんをしようと思えばいくらでも悪さができるというわけ。
もっとも、いくらメーターをいじくったとしても、いまどきのクルマはECUにデータが記録されているので、ちゃんとした流通ルートを経て売られたクルマであればさほど心配する必要はないでしょう。走行距離に疑義が発生しないよう、オークション業者やディーラーはそうしたデータをしっかり備えているからです。また、いまではよほど人気のあるタマでなければ走行距離の改ざんは流行らない様子。手間ひまかかるわりに儲けは微増、これではリスクを負う気にもならないというもの。
なお、自分のクルマの走行距離に疑いがあって、夜もおちおち眠れないという方には「一般社団法人 自動車公正取引協議会」という組織が相談に乗ってくれます。心配性なクルマ好きの強い味方ですよ!