1番売れそうなのは最後に控えるエステート! クラウン4兄弟の大本命を探った (2/2ページ)

現時点でもっともヒットしそうなのはエステートと予想

 2023年10月に、2番目に投入されたクラウンスポーツは、ボディ後部にリヤゲートを装着した一般的なSUVだ。ボディは入念に補強され、全長は4720mmと短いが、車両重量は同じパワーユニットを搭載するクロスオーバーよりも20kgほど重い。その代わり走行安定性と乗り心地のバランスに優れ、ハリアーと同程度のサイズで、運転の楽しさを満喫できる。

トヨタ・クラウンスポーツのフロントスタイリング

 2024年3月までにはクラウンエステートも発売される。天井を後方まで長く伸ばした典型的なSUVだ。全長は4930mmと長く、広い後席と大容量の荷室を備える。ハイブリッドとプラグインハイブリッドがあって、3列シート仕様は選べないが、車内は多人数乗車ができるほど広い。

トヨタ・クラウンエステートのサイドビュー

 そして、セダンは2023年11月に登場し、ハイブリッドとプラグインハイブリッドを用意する。セダンはSUVと違って後輪駆動を採用して、ボディサイズは全長が5030mm、全幅も1890mmと大柄だ。

トヨタ・クラウンセダンのフロントスタイリング

 以上の4車種のなかで、もっとも多く販売される本命はエステートだ。SUVの魅力は、カッコ良くて存在感の強い外観と、4名乗車時の快適な居住性、広い荷室を両立させたことにある。このSUVの特徴を明確に備えるのがエステートだから人気も高まる。もっとも推奨度の高いクラウンでもある。

トヨタ・クラウンエステートのリヤスタイリング

 クラウンクロスオーバーはセダンボディだから、荷物の積載性があまり良くない。その代わり先に述べたように独立したトランクスペースを備えるセダンボディだから、従来型のユーザーは購入しやすい面もある。本命にはなり得ないが、従来型からは乗り替えやすい。

 また、「クラウンといえばセダン」にこだわるなら、必然的にクラウンセダンだ。いまでは走りにおける後輪駆動の優位性は薄れたが、操舵感の違いは残る。この特徴を「大した違いはない」と片付けたら、メルセデス・ベンツやBMWが後輪駆動にこだわる意味もなくなる。クラウンセダンのボディは大柄だが、長いボンネットには古典的なカッコ良さもある。

トヨタ・クラウンセダンのサイドスタイリング

 残りのクラウンスポーツは、文字どおりスポーツ指向なのに、クロスオーバーと違ってパワフルな2.4リッターターボハイブリッドは設定されない。これは走りの優れた適度なサイズのSUVを求めるユーザーには残念なところだ。装備の充実した上級グレードのみの設定だから、価格も590万円と高い。

 以上のように、エステートが発売されていない現時点では、クラウンの選択は決めにくい。すべてが登場した後で、可能であれば試乗したうえで判断したい。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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