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スタッドレスタイヤは雨に弱いって噂はホント? 雪や氷に強い「仕組み」と「構造から」真相を探った (2/2ページ)

スタッドレスタイヤは雨に弱いって噂はホント? 雪や氷に強い「仕組み」と「構造から」真相を探った

この記事をまとめると

■スタッドレスタイヤは雨に弱いとよく言われる

■雨に弱い理由は、トレッドパターンや使われているゴムの性質による影響が大きい

■雪が多い季節、雨が多い季節など時期にあわせて使用するタイヤを選ぶのが安全だ

スタッドレスタイヤはなぜ雨に弱い?

 今年の夏は厳しい暑さが長く続いたと思っていたら、10月に入ってようやく気温が下がり、今度は一気に晩秋の気温にまで落ち込みました。この変化を目の当たりにすると、冬はもうすぐだなと感じます。

 冬が近づくと、普段通勤や仕事でクルマを使う人はタイヤの交換時期が気になりだすことでしょう。慎重な人や気が早い人は、雪の予報が出る前にスタッドレスタイヤへの交換を済ませてしまおうと思っている時期かもしれません。

 または春が近づいて夏用タイヤに戻すタイミングも同様に、「まだ雪が降るかもしれない」とか「雪はないけど路面の凍結が心配」など、いろいろ悩みどころだと思います。

 そんな交換を意識し出した時期に気になるのは、雨が降ったときのあの「スタッドレスタイヤは雨の日に滑りやすい」というウワサです。スタッドレスタイヤの寿命を延ばしたくて、スタッドレスタイヤの装着時間を短くしたいと考えている人は多いと思いますが、雨の日のウワサが本当なら、安全面に関してもできるだけ使用期間を短く済ませたいと思いますね。

 ここではスタッドレスタイヤの仕組みを考え、どうして雨の日のグリップが低くなるというウワサが出るのかを掘り下げてみましょう。

■知っているようで知らないスタッドレスタイヤの仕組み

 スタッドレスタイヤというのは、「雪道やアイスバーンでのグリップ性能を確保するために作られたタイヤ」、ということは誰でも知っていることだと思いますが、どうして雪やアイスバーンの上で滑りにくくできるのかを知っている人はそれほど多くはないでしょう。

 スタッドレスタイヤが雪やアイスバーンの上でグリップできるのは、大きくわけて3つの特殊な要素を持っているからです。

●ひとつ目は“柔らかい”ということ

 タイヤのトレッド面(接地面)のゴムが柔らかいと、路面の凸凹にゴムが入り込んで密着します。この密着する面積が多いほどグリップ力が大きくなります。この点に関してはドライ路面にも当てはまりますが、スタッドレスタイヤの場合は低温でも柔らかさを維持するという特性が重要になります。

 物質は基本的に温度が下がると硬くなる性質があります。ゴムの柔らかさはグリップ力の源なので、気温が下がる冬に使うスタッドレスタイヤでは、マイナスの気温でも柔らかさを保てるよう特殊な成分を配合してゴムを生成しているのです。

●ふたつ目は“専用の構造をしている”ということ

 硬いアスファルトの上を走る夏用のタイヤのゴムは、車両の重さを受け止められるよう固めに調整されていますが、雪や氷はアスファルトよりもはるかに柔らかいため、前述のようにスタッドレスタイヤのゴムは柔らかく調整されています。そのうえでさらにグリップを確保するため、構造でも工夫が込められているのです。

 スタッドレスタイヤのトレッド面を見てみると、夏用タイヤと比べて細い溝(サイプといいます)が細かく入っているのに気付くでしょう。あれが構造のキモです。路面にタイヤが接したとき、細かい溝ごとにブロックが分かれてたわみます。たわんだときにブロックの角が当たって氷の表面を捉えることでグリップを増やしているのです。

 また、この溝に水が入り込むことで路面の水分を吸い取ってグリップを確保します。この点は以下の項目と関係します。

●3つ目は“氷の表面の水を吸い取る”ということ

 アイスバーンの上を走るとき、その氷の表面ではタイヤの圧力で氷が溶けてその水がわずかに染み出しています。わずかでも氷とタイヤの間に水の膜があると、ゴムが密着できなくなって滑ってしまうのです。

 なので、スタッドレスタイヤのグリップ性能確保には、この溶けた水をタイヤと氷の間から除去することが重要となります。

 この水分除去の方法はタイヤメーカーごとで少し違いますが、除去するという役割が重要だという考えでは一致しています。その方策のひとつは、前述のタイヤの細かい溝で水を吸い上げる構造です。そしてじつは、タイヤのゴム自体にも水を吸う特性が持たされているんです。“吸水ゴム”や“発泡ゴム”など構造や呼び名がメーカーごとに違いますが、カンタンに言ってしまうと、スポンジのようにゴムのなかに微細な空洞を作ったり吸水成分を混ぜたりして氷の表面の水分を取り除く工夫が懲らされているのです。

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