「同じ車種なら箱替えOK派」vs「このクルマじゃなきゃダメ派」! 相まみえないクルママニアそれぞれの言い分 (2/2ページ)

思い出はお金では取り戻せない!

■「このクルマじゃなきゃダメ派」の主張

 憧れのクルマを手に入れた、親の形見、人生初の愛車、奧さんとの初デートのときに所有していた愛車……などなど。さまざまな理由でオンリーワンの存在となっている場合、誰に何と言われようとも「このクルマじゃなきゃダメ!」なわけです。

 乗り換えなんてありえない、箱替えは最後の手段。修理にいくらかかろうが、復活に年単位の時間を要することになろうが、「このクルマじゃなきゃダメ!」なので、ギリギリまで予算を投じるし、製造廃止の部品はありとあらゆる手段で探すし、壊れて修理ともなっても可能な限り待てるのです。

トヨタ・スープラ(A70)の走行写真

 何しろ一生モノなので、リセールバリューを意識する必要はもちろん、修復歴ありになっても気にする必要もありません。世の中の評価や価値基準など関係なく、大切な愛車の原状復帰・現状維持ができればいいのですから。

 乗り換えるという選択肢がない、一生モノとして所有する。いつしか動体保存を優先するようになります。そうなると必要なのが「足車」。オーナーにここまでしてもらえたら、クルマとしても本望でしょう。

■まとめ:シアワセなのは果たしてどちらなのか?

「同じ車種ならなんでもいい」「このクルマじゃなきゃダメ」。シアワセなのは果たしてどちらなのか? 筆者自身は後者だから……なのかもしれませんが「このクルマじゃなきゃダメ」の方がシアワセではないかと考えます。

 以前、あるメディアのオーナーインタビューのときにこんなことがありました。

「常に最新モデルを所有できても、どれだけクルマを増車してもどこか心が満たされない。運転免許を取ってから最初に手に入れたクルマをもう1度所有したい……」かつてとある取材のとき、そうつぶやいたオーナーさんがいました。

日産スカイラインGT-R(R32)の走行写真

 筆者自身、毎年のようにクルマを買い替えたり、次々と増車できるカーライフに憧れがないわけではありません。欲しいと思ったクルマを明日にでも契約できる生活に憧れたことも、正直言って何度もあります(笑)。一時期的に所有欲は満たされても、すぐにまた次のクルマが欲しくなり、お金に余裕があるので買えてしまう。

 経験がないのであくまでも想像ですが、時価数億円の世界限定車であっても、ミニカーのようにポンと買えてしまったら……。「うぉぉぉおおお! ついに、ついに買えたぞ!」といった喜びや実感は案外希薄なのかもしれません。

複数台のポルシェのイメージ写真

 これは余談ですが「このクルマじゃなきゃダメ」な方も、ふと魔が差して「そろそろ手放そうかな」と思う瞬間があります。衝動買いならぬ衝動売りです。この場合、可能な限り所有していた方がいいです。大げさでもなんでもなく、ここで手放すと下手をすると一生尾を引きます。


松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

愛車
1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
好きな有名人
藤沢武生

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