もはや運賃の値上げだけが「路線バス」存続の有効策! 反対派も知るべき「安すぎる」日本のバス運賃 (2/2ページ)

このままでは路線バスの時刻表が消える!?

 一方で、都バス、大阪シティバスの均一料金は210円となっている。均一運賃ではないものの、福岡市や北九州市などで運行している西鉄バスでは、2024年1月より区間運賃制での初乗り運賃は現状の170円から210円に引き上げることを発表している。

 とりあえず先進国といえる日本だが、同じ先進国のバス運賃と比較すると明らかに運賃は安く設定されているといっていいだろう。

路線バス

 物価高に日々悩まされる毎日を送っているが、諸外国、とくに欧米の激しいインフレや人件費高騰などによる物価高を見れば、世界からは全国津々浦々ディスカウントストア状態ともいえる日本と単純に運賃を比較することはできないが、それでも日本の都市部における路線バスの均一運賃は安く抑えられている印象を受ける。

 このような話をすると、「お年寄りなどの弱者を見放すのか」といった議論も出かねないが、たとえば都バスでは、すでにシルバーパスというものが用意されている。議論としてはあくまで普通運賃の値上げというものにフォーカスしてもらいたいと筆者は考えている。

シルバーパスのイメージ

※画像はイメージ

 地方部だけでなく、大都市周辺でもいまのような状況になる前から路線維持などの理由でたびたび運賃値上げが行われており、さらには地元自治体からの補助金が投入されていたりもしている。

 運賃はいままでどおり、運行本数そのままで路線廃止もない、つまり何も変えずにこのまま、運行事業者の努力だけで凌ぐことは、現状を見ればかなり厳しい状況となってきた。現状の利便性を可能な限り維持したいと考え、そしてそのためにもバスを運行する乗務員の待遇改善を願うのならば、現状の均一区間であっても、区間制運賃の導入というものも本格的に検討していかないと、世界的にも珍しい、時刻表のある停留所というものがなくなり、いつくるかわからないなかバスを待つこと(世界的にはこれが主流でアメリカでは当たり前。バスロケーションシステムで接近情報を提供しているところもある)にもなるだろう。

 つまり、定時運行を維持する余裕がなくなり、おおまかな運転間隔を設けて1日何本運行するかという流れになっていくことにもなりかねないのが、いまの日本の路線バス運行の現状といっていいだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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