この記事をまとめると
■「ジャパンモビリティショー2023」でホンダはHondaJetエリートIIのモックアップを展示
■今回の展示ではHondaJetエリートIIの機内へ乗り込みやコクピットへの着座もできる
■HondaJetエリートIIの実機は695万ドル(約10億4250万円)からとなる
メインエリアに日本初上陸のHondaJetモックアップを展示
今回、従来の「東京モーターショー」から名称を一新、「ジャパンモビリティショー」となったことでメーカーブースの印象は大きく変わった。以前はコンセプトカーや新型車など、「製品」を前面に出した展示内容となっていたが、初開催となったジャパンモビリティショーでは、まさに日本の未来の移動手段といったさまざまな展示内容に溢れている。
なかでも印象的だったのは、四輪車だけでなく二輪車、さらにはマリン、汎用機、そして航空事業までと幅広い事業展開を行っているホンダのブースだ。陸海空すべてに自社製モビリティをラインアップするホンダは、当然のようにそれらを展示。空のモビリティとして、次世代の垂直離着陸機「eVTOL」の5分の1サイズモックアップに加え、なんと自社製(正確には関連会社のホンダエアクラフトカンパニー製)の小型ビジネスジェット航空機、HondaJetがブースのメインエリアに並べられた。
残念ながら実機そのものではなく、同スケールで作られたモックアップであるため、HondaJetの特徴でもある、主翼の上に搭載されたエンジンなどは見ることができなかった。
ホンダブースのスタッフに聞いたところ、このモックアップはHondaJetの購入を検討している潜在顧客に機内体験してもらうためのもの。普段はアメリカ各地で行われる航空ショーなどで展示するために活用されており、今回のジャパンモビリティショーにあわせて「初来日」したのだという。
いわばマンションのモデルルームのようなものだが、実機と異なるのはその主翼とエンジンの有無くらいで、外寸および内装はまったく同じに作られているとのこと。モックアップの目的を考えれば、機内の内装素材などが実機同様なのは当然だが、なんと胴体の素材も実機と同じだとか。
そんな実機同様に製作されたHondaJetのモックアップに、今回の展示では機内へ乗り込むことができ、客席はもちろんコクピットへ座ることもできるという。しかしながら、メディア取材向けのプレスデーでもHondaJetの機内体験は大人気で、ひとつの媒体に与えられた時間は5分のみ。かなり駆け足での乗機体験となった。
さて機内の様子を見る前に、まずはHondaJetの歴史について、軽くおさらいしておこう。ホンダが本格的に小型航空機と航空機エンジンの研究を開始したのは、1986年のこと。その後、ターボファンエンジンおよび航空機の機体の両方を自社開発することとなり、2015年にはHondaJetの量産1号機が初飛行に成功した。
2015年12月にはHondaJetの量産1号機がデリバリーされ、市販航空機メーカーとしての歩みが始まる。その後、2018年5月にはHondaJetエリート、2021年5月にHondaJetエリートS、そして2022年10月には最新型となるHondaJetエリートIIへと進化を重ねている。現在までに230機以上がデリバリーされており、小型ジェットカテゴリーにおいては5年連続販売ナンバーワンを達成するほどの人気となっている。
今回、展示されたのは最新の機体であるHondaJetエリートIIのモックアップだ。先代機HondaJetエリートSのマイナーチェンジモデルで、基本的な外観デザインや諸元は初代HondaJetからほぼ変わりはないものの、燃料タンクの拡張および最大離陸重量を増加させたことにより、航続距離が204km延長され2865kmとなっている。
さらに、HondaJetエリートIIでは、飛行機の持つ「機能美」を重要視し、究極のオーナーシップ体験と快適性を追求。外観デザインにおいては、特別色のBlack Editionを新たに設定した。内装にはモダンなグレーを基調にした「スチール」と、暖かみのあるベージュを基調にした「オニキス」というふたつデザインが加わり、機内通路の床材には従来のカーペットのほか、木目調のデザインを選択できるようになっている。
今回は体験することができなかったが、機内壁の遮音材を刷新することで機内に流れ込む風切り音を抑えるなど、キャビン全体の静粛性がさらに向上して上質な登場体験を実現しているという。