2024年問題の対策が「置き配ポイント」って日本政府は正気か!? どう考えてもトラック業界にまるで無知としかいいようがない! (2/2ページ)

労働時間を制限する前に賃金アップをすべきだ

 筆者が若いころには、某大手宅配会社の求人広告は「頑張ればフェラーリが買える」といった内容になっていた。つまり、稼げる仕事ということ。世の中で楽をして稼げる仕事は、前述した政治家といったものがイメージできるが、ほとんど存在しない。タイトな職場であっても稼げる仕事であれば、少なくとも現状よりは状況も良かったかもしれない。

長距離トラックのイメージ写真

 素直に業界に賃上げを行うように、政治の力で強くプッシュするのが最優先なのに、先に労働時間を減らそうというのは、問題が起きて当たり前のように思える。

 物流業界と同じく2024年問題が深刻化しそうなのが、バスやタクシーといった旅客運送業界。

 あるタクシードライバーは、定年退職を迎え嘱託乗務員となってそれまでの隔日勤務(連続20時間ほどの乗務)から、月曜日から金曜日の間の日勤(毎日乗務する)乗務に切り替えて乗務を続けたというが、すでに勤務体系が2024年問題を意識した乗務時間管理となっており、日々の乗務時間が少なすぎて想定していたレベルの売り上げにとても達しなかったという。その結果、やむなく日曜日も乗務するようになったとのこと。「なんのための労働時間制限強化なのかわからない」とそのドライバーは語っていた。

駅前のタクシーロータリーのイメージ写真

 日本の長時間労働をより深刻にしているのが、長時間拘束されるのに稼ぎが少ないという見返りの低さ。いまの労働環境を改善したいならば、まず賃金の底上げを行ってから、労働時間をどう短縮していくか考えるのが、流れとしては正しいように思える。

 いきなり労働時間の規制を強化したって、その分、新たな働き手を充足しなければ問題が発生するのは明らかなはず。構内作業では、それでもすでに自動化によってなんとかなっているようだが、物流や旅客輸送業界において自動運転が当たり前になる時代の到来はまだまだ先だし、そもそも日本ではそれに向けたインフラ整備が、アメリカなどに比べれば手つかずに近い状況のように見える。

夜間の街中を走行する複数台のタクシー

 現状のまま、労働時間を減らせば稼ぎがさらに減るのは自然の流れ。なぜ賃上げという発想ができないのか。この傾向は物流業界だけでなく、日本のあるある的な話であり、世界的に乖離したガラパゴス的社会問題といってもいいだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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