エクステリアにも専用パーツを多数装備
■外観はほとんどコロナと同じに見えるけど……?
外観上でのコロナとの見分け方ですが、いちばんのポイントは、前側ホイールアーチとドアのカットラインとの間に装着されたエアアウトレットでしょう。高性能化によって増大した熱を排出するためのもので、プロトの「RTX」で装備された機構です。
Cピラーに装着された逆三角形のバッジとグリルは「1600GT」専用ですが、すれ違う場面で見分けるポイントとしては少し物足りないかもしれません。
さらに並べないとわからないポイントですが、ホイールアーチが「コロナ」より大きくなっています。よく見比べると、ホイールアーチと上のメッキモールとの隙間が狭いことが分かります。これは、車高を下げ、大径で幅広のタイヤを履かせるレースでの使用を踏まえた変更だと思われます。
エンジンルームを見れば、ベース車の「4R」とはまったく存在感の違う「9R」エンジンが搭載されているので一目瞭然です。エアクリーナーは「4R」が丸形で左寄りに付いているのに対して、「9R」は長円形で右前寄りに付いています。
■乗った感じはどうでしょう?
さすがに希少な「1600GT」のハンドルを握らせてもらう機会はなく、運転したときのインプレッションはお伝えできませんが、イベントで見たときの印象と、ベースとなった「コロナ1500デラックス」に乗ったときの感想から、少し想像でこんな感じではないか? というのを最後に書き添えてみたいと思います。
ベースの「コロナ」は、まずそのサイズがコンパクトに感じます。とくに車幅が狭いと感じました。でも車高があるためか、乗ってみるとあんまり狭い感じはしません。
走ってみたときの乗り心地はいまのクルマと比べるとかなり違います。感覚的には「箱のなかにいる」という表現が近いでしょうか。サスペンションはソフトで、クルマより船に近い感覚です。ロールやピッチングは大きめですが、ダンパーは効いているようで、けっしてイヤな動きではありません。ブレーキは正直言うと少し不安を感じるレベルです。
このあたりについては「1600GT」は強化されているということなので、もう少ししっかりした印象になるでしょう。ブレーキも前輪ディスク式なので利くはずです。
「コロナ1500」の「2R」エンジンはかなりマイルドな印象です。いちばん違いを感じるとしたら、やはりエンジンでしょう。DOHCと大口径のソレックスキャブレターから発せられるエンジン音は勇ましい響きで、その気にさせてくれます。
馬力の表記は、「コロナ」の最強「4R」が90馬力に対して「9R」が110馬力と20馬力の差ですが、きっと体感では数字以上の差を感じると思います。まず、レスポンスが優れているので加速感が鋭く感じ、パワー自体も大きいので実際の加速も良いでしょう。とくに4000回転以上は勇ましいエンジン音も相まって鋭く感じると思います。
この「1600GT」の「9R」エンジンを祖として、のちに「2T-G」、「4A-G」とトヨタのDOHC名エンジンが生まれていくことになります。一度は元祖である「9R」のフィーリングを味わってみたいですね。