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「一流のレーシングドライバーは何にのっても速い」説は本当か? 元トップレーシングドライバーが解説する! (1/2ページ)

「一流のレーシングドライバーは何にのっても速い」説は本当か? 元トップレーシングドライバーが解説する!

この記事をまとめると

■優秀なドライバーでも乗っているマシンやチーム力によって速さが左右される場合がある

■環境次第で速さが変わることがありながらも、ドライバーは結果だけで成績を判断される

■一流のレーサーであれば、何に乗っても速いことのほうが多く、数多く実証されてきた

一流は何に乗っても速いのか経験をもとに考えてみた

 レーシングドライバーがレースで活躍するにはいくつかの条件が必要だ。まず自身のドライビングセンスと知識、能力を安定して発揮できる精神力と体力など。そして、参戦カテゴリーにおいて速いマシンと優れたサポート態勢などだ。

 あるカテゴリーで大活躍したレーサーが、ほかのチームに移籍した途端に活躍できなくなったり、ほかのカテゴリーでは成績が悪かったりというのは条件のいくつかが欠落してしまった場合が多い。速いレーサーの能力がいきなり低下、あるいは消失してしまうことは、怪我や病、精神的プレッシャーの変化などを除けばほとんどあり得ないといっていい。

 僕自身の経験で例えると、1989年の国内トップフォーミュラであった全日本F3000選手権(現スーパーフォーミュラの前身)において、デビュー3戦目となる西日本サーキット戦でポールポジションを獲得。5戦目には2位の表彰台に立った。

 しかし、翌1990年の同選手権戦においては、デビューイヤーでポールポジションを獲得した西日本戦の予選でほぼ最下位。前年のタイムに1秒も遅れた。そして翌1991年にはチームを移籍。初開催となったオートポリス戦でポールポジションを獲得してレースも優勝。続く西日本の新サーキットでもポールポジションを獲得した。

 わずか3シーズンでありながらアップダウンが激しく、そのたびにドライバーとしての評価も変化する。だが最終的には「速いマシンに乗れば速い」ということが実証されたのだ。

 スランプに陥る時期というのは才能、能力が落ち込むわけではない。それよりマシンの性能、競争力が低下してドライバーが速く走れないことのほうが現実的なのだ。

 F1においても同様な例は多くある。2005年、2006年にルノーのマシンでF1の世界チャンピオンとなったフェルナンンド・アロンソ選手。マクラーレンやルノーへのチーム移籍を繰り返したが、タイトル獲得にはほど遠く、才能は潰えたかのように評されたが、2010年にフェラーリへ移籍すると大活躍を見せる。ただ、ライバルのマシンとの競争力差に破れタイトル獲得には届かなかった。

 そして2015年にホンダエンジン復活となったマクラーレンチームに移籍。そこではマシンのパフォーマンスが圧倒的に低く、最下位近辺での走行を強いられ、ドライバーとしての評価も厳しいものとなってしまう。

 これで終わらず、近年はアストンマーチンに移籍して再び大活躍を見せ、次期ホンダエンジン搭載車の有力ドライバー候補となっているのである。

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