「ふんわりアクセル=速度を出さないこと」ではない!
ただし、「ふんわりアクセルの目安は、5秒間で20km/hまで加速するような運転操作をすること」という表現が誤解を招いている面もあるでしょう。発進から5秒後に20km/hの目標速度にしようとする場合と、目標速度は40km/hで5秒後に20km/hとなるような加速をする場合では、アクセルワークは異なります。後者のイメージでのふんわりアクセルであれば、違和感なく実行できるのではないでしょうか。
こうした視点を持つと、「ふんわりアクセルは環境によくてもまわりは迷惑!」という批判がナンセンスであることも理解できます。上記の批判は、一般道を20km/hで走るような運転を想定しているのでしょうが、あくまで加速をマイルドにしようというのがふんわりアクセルの狙いであって、制限速度にかかわらず低速で走ろうと言っているわけではありません。
信号が青になったらブレーキから足を離し、クリープ現象を利用して動き出したら必要最小限だけアクセルを踏むという運転をしていれば、自然とふんわりアクセルになるものです。もちろん、大排気量エンジンのクルマと軽自動車では、必要なアクセルワークは変わってきます。アクセル開度ではなく加速の目安として5秒で20km/hと提示しているのは、むしろ妥当だといえるわけです。
一方、「ふんわりアクセルで走ってばかりいるとエンジンが傷む」という指摘もあります。たしかに機械的にいえば、アクセルをあまり開けずに走っていると、エンジン各部にカーボンが溜まりやすくなる傾向があるのは事実でしょう。
しかし、特殊なチューニングを受けたエンジンや一部のディーゼルエンジンを除けば、日常的にアクセルを全開にするような加速をしていなければ、カーボンが堆積してエンジンの調子が悪くなる……ということは考えられません。
高速道路の合流など、いつもより急な加速が必要なシーンでは、ふんわりアクセルを忘れて、アクセルを全開に近いレベルで踏み込んでやれば十分でしょう。
とくにEVにおいてはカーボンが溜まってしまうような問題は意識する必要がありません。実際に運転してみるとわかるでしょうが、EVでは急加速をするほど電費に不利で、航続距離が短くなりがちです。電動化時代に「ふんわりアクセル『eスタート』」を意識することは有効といえそうです。