この記事をまとめると
■ジャパンモビリティショー2023が開催中
■車両だけでなく次世代の技術なども展示されている
■レクサスブースに展示されている新バッテリーとギガキャストを紹介
次世代の技術に注目!
2023年10月25日に開幕したジャパンモビリティショー。ショーの目玉と言えばニューモデルやコンセプトモデルの数々だが、次世代の技術やトレンドになりそうなメカニズムも多く展示されている。今回、トヨタとレクサスはグループ内で多くのBEVコンセプトモデルを発表したが、そのモデルたちを支えているのが、レクサスブースに展示されていた新開発のバッテリーとギガキャストだ。
素材と構造の見直しで高性能なバッテリーに
まずはバッテリーに注目してみよう。このモビリティショーで発表された2026年市販予定のコンセプトモデルLF-ZCに搭載されているのもこのバッテリーだが、LF-ZCが低いスタイリングと広い室内空間の両立を実現できた理由がこのバッテリーにある。
使用素材と内部構造の見直しにより、エネルギー密度を高めることができたのだ。まず、素材に関して紹介しよう。ニッケル、コバルト、マンガンといった使用素材は同じだが、その組み合わせ方や量の比率を見直すことでバッテリー性能を向上させたそうだ。
そして内部構造に関しては、バッテリーの端子の位置を変更した。これまでは上に端子が付いていたそうだが、これを横方向にすることでバッテリーモジュール全体の高さを低くすることに成功し、室内空間を確保することに貢献している。端子が上に付いていたほうがバッテリーの単体構造的にラクだったそうで、長年行ってきたハイブリッド車からずっとそのような構造だったとのこと。この構造変更は大きな決断と言えるだろう。
また、冷却水が通るレイアウトも以前よりも効率的に冷却できるようなレイアウトが検討されているとのこと。これにより充電性能の向上も実現している。
86の部品を1つにするギガキャスト
次にギガキャストに関して見てみよう。ギガキャストはフロアまわりの構造を鋳造の1点部品に変更したアイテム。このギガキャストを導入することで生産コストの削減と生産時間の短縮、スペースの確保、そして剛性アップにより優れた乗り心地を実現しようという新たな車体設計のアプローチだ。たとえばbZ4Xのリヤセクションをギガキャストに置き換えた場合、86個の鉄部品が1つになるそうだ。素材はアルミとなっていて、鉄からアルミへの変更となると剛性面で不安になる声もあるかもしれないが、溶接や締結部分がなくなって、一つの構造体になることを考えると、剛性は大幅に向上するのだ。
現在の開発で課題となっているのは衝突安全の部分だそうだ。これまでは使用していた鉄と違って、アルミは座屈させながら衝撃を吸収する必要がある。この座屈の仕方やタイミングを衝突安全に合わせてコントロールして設計するのが難しいとのこと。
このギガキャストが実現すれば剛性が向上するのはもちろんだが、サスペンションまわりの設計の自由度も向上するため、同じプラットフォームでもSUVやスポーツカーなどバリエーションの豊かな車種をこれまでよりも、設計しやすくなるそうだ。
新バッテリーとギガキャスト、次なるTNGAとなるのかに注目していきたいところだ。