この記事をまとめると
■ジャパンモビリティショー2023が開催中
■UDトラックスはいすゞと共同でブースを出展
■車両展示のほか、シミュレーターも設置されている
いすゞと共同開発のトラクタ「クオンGW」もお披露目
2021年にいすゞ傘下となったUDトラックス。東京モーターショーから名称が変わった「ジャパンモビリティショー2023」ではいすゞと共同でブースを出展した。
同ブースでとくに目を引いたのは、ルーフとバンパーに特殊なセンサーを装備した大型トラック「クオン」のダンプ。じつはこのクルマ、自動運転技術の実証運転を行なっている試験車で、「Fujin(風神)」の名称が付けられている。ちなみにUDには「Raijin(雷神)」と呼ばれるクオンベースのハイブリッド実験車もあり、こちらは2030年までのフル電動トラック量産化に向けて開発した車両だという。
Fujinはレベル4自動運転技術を搭載。レベル4とは米国自動車技術者協会と国土交通省が定めた6段階の自動運転レベルで、限定された条件下においてすべての運転操作を自動で行えるシステムのこと。具体的には工業団地や港湾施設、採石場、農場などクローズドな場所で無人運転ができるレベルということになる。
UDトラックスはこのレベル4を搭載したFujinを2019年に8月にホクレン中斜里製糖工場にて砂糖の原料となるピート(てん菜)を運ぶ実証実験を実施。また、2022年8月末から10月末にかけて、神戸製鋼加古川製鉄所にて氷砕スラグ(鉄を作る際に副産物として生成される砂状の骨材)を運搬する実証実験を行なった。
今回展示されたFujinは神戸製鋼での実験に使用された車両で、水たまりやぬかるみのある不整地や雨や霧などの天候化でも自動運転システムが正確に作動することに成功。また、氷砕スラグの積み下ろしなどのオペレーションの自動化も実現している。
展示車両のキャブのルーフとフロントバンパー、そしてリヤバンパーに装備されているセンサーは「3D LiDAR(ライダー)センサー」と呼ばれる装置で、3次元状にレーザーを照射して周囲の状況を正確に把握することができる。ルーフ側のライダーは周囲の位置を把握。前後バンパーのライダーは周辺の障害物を検知する機能を持っている。
このライダーと高精度RTK GPS、2系統の加速度センサーにより車両の位置や周囲の状況を高レベルでキャッチ。自動運転を実現しているというわけだ。
自動運転の操舵の要となるシステムが、2022年式クオンから愛用されている「UDアクティブステアリング」。従来の油圧式ステアリングギヤ上部に新たに搭載した電気モーターによる支援機能で、電気モーターに搭載したECUが1秒間に2000回の頻度でさまざまなセンサーから運転環境を感知し、走行方向とドライバーの意図を判断。このシステム制御でステアリングの重さに適切なトルクを付加することで、速度や積荷、路面状況などに左右されない安定したステアリング感覚を実現している。
UDブースにはそのアクティブステアリングのシミュレーターも設置され、その操舵感覚を体感することができた。
このほか、今年3月にいすゞと共同開発でリリースしたクオンのトラクタ「クオンGW」とEUが定める排出ガス規制「ユーロ5」に準拠した新興国向けのトラクタ(国内未発売)「クエスターGWE」も実車を展示。来場者たちの注目を集めていた。