とてもじゃないが座ってどこかに行くのは無理!
しかし、多人数乗用車として日本で大人気の3列シートを備えたコンパクトミニバンのなかには、ミニバンらしからぬ、3列目席が超狭いクルマもあった。その評判から、早期に消滅してしまったんですけどね。
たとえばカローラスパシオ。ハンモックのような3列シートで、小さい子どもや荷物置き限定シートだったし、日産キューブの3列シート版だったキューブキュービックは身長172cmの筆者が、2列目席の膝まわり空間をギリギリ座れる70mmにセットしても、3列目席の膝まわり空間は0mm! 座れたもんじゃありませんでした。
ホンダのモビリオも、3列目席は超狭かった……。当然、3列シート使用時のラゲッジスペースも超狭で、3列目席格納前提のパッケージだったわけだ。こうした無理やりな3列シートコンパクトミニバンは、当時空前のミニバンブームの最中、コンパクトカーに3列目席をくっつければ、安いし売れるかも……という自動車メーカーの思惑があったに違いないのだが、見事に”失敗”だったかも知れない。
いやいや、もう少しサイズアップした国産ミニバンでも、3列目席はあってないようなもの……というパッケージングのクルマもあった。たとえばストリームの後継車とも言えたホンダ・ジェイド。2列目席がV字レイアウトで、3列目席はほぼおまけ。頭上はリヤガラス、膝まわりはスペースなし。
筆者は雨の日の試乗で、車内にいたまま、2列目席から3列目席に無理やり移動しようとしたら、足が引っ掛かってねん挫したこともあった。ジェイドは、走りなど決して悪いわけではないのだけれど、後期にRSと呼ばれた2列シートモデルが出たぐらいで(これはなかなかいい)、やっぱりパッケージ的に3列シートは無理無謀な1台だったと記憶する。
もちろん、大人にとっての後席の広さ、座りやすさは人それぞれの体形によるのだが、ざっくり言うと、後席(ミニバンの3列目席)の膝まわり空間が100mm以上、ヒール段差(フロアからシート前端までの高さ)が300mm以上あれば、不愉快なく座っていられるはず。一方、頭上方向は50mmもあれば、乗車中は前を向いているわけで、天井方向の狭い、広いはさほど気にならないのである。