いまではレース専用モデルから安価なマシンまで幅広く存在
代表的なのが日本のスーパーGT(500クラス)。駆動方式(FR限定)もエンジン形式(2000cc、4気筒直噴ターボに統一)も、ベース車とは無関係に改造できるし、空力パーツも大幅な変更が許されているので、ホモロゲーションモデルは不要といっていい。
一方、ラリーカーは未だにいくつか条件がある。四輪駆動ターボのRally2、二輪駆動のRally4・Rally5など主な車両は、ベース車両がシリーズ全体で2万5000台、直接のモデルは連続する12カ月間で2500台が生産されている4座席の量産車であることが条件になっている。
その反面、トヨタのGRヤリスをはじめ、ヒョンデやフォードなどが参戦しているRally1は、ハイブリッドシステムを導入する代わりに、パイプフレームの使用も認められていて、ベース車両の最低生産台数も規定にはない(マニュファクチャラーの不足への対策)。
レース界でも、コストを抑え、性能差を調整し、アマチュアやキャリアの少ないドライバーのための「GT3」というカテゴリーが設けられ、ヨーロッパ、アメリカ、アジアの各地でGT3を使ったレースが盛んに開催されるようになっていた。
しかし、GT3のレースが隆盛になればなるほどマシンは高性能化していき、車両&参戦コストは高騰(GT3の車両価格は5000万円が目安だった)。ドライバーもプロ化が進んできてしまったために、GT3の下位カテゴリーとして、「GT4」を新設。GT4は市販車からの改造範囲をかなり絞り、車両価格をGT3車両より廉価に押さえ(3000万円前後)、メンテナンス費用やランニングコストを大幅に軽減。
ベース車両の性能に差がある場合も、BoPによる性能均衡化が図られるため、どのメーカー、どの車種でも勝てるチャンスがある。自動車メーカーやその直系のワークスブランドが製造、販売するため、高い安全性も保証されているといった特徴がある。
主なGT4マシンを挙げてみると、「メルセデスAMG GT4」、「ポルシェ718ケイマンGT4 クラブスポーツ」、「BMW M4 GT4」、「トヨタ GTスープラ GT4」、「ニッサンZ GT4」、「マクラーレン570S GT4」、「アウディR8 LMS GT4」などがあり、車種は意外に多彩。
国内のスーパー耐久でも、FIA GT3 公認車両、及びGT3規格に準ずる車両が参戦できる「ST-Xクラス」と、GT4公認車両、及びGT4規格に準ずる車両が参戦できる「ST-Zクラス」が設けられ、GT4のST-Zクラスには、2023シーズンは6車種11台がエントリーしていた(GT3のST-Xクラスは、4車種7台)。