日産キューブの歴代モデルを振り返る! (2/2ページ)

キューブベースの3列シート車もあった!

3代目(2008年)

 2008年、フルモデルチェンジで3代目となったキューブ。左右非対称デザインと横開きのリヤゲートを継承するなど、2代目のイメージを踏襲したエクステリアデザインが特徴です。

 いわば正常進化となった3代目ですが、デザインの隠しテーマは「ブルドッグ」。2代目と比べて癒やし要素や温かみが加わったように見受けられます。その理由はキューブとしては初となる、グローバル展開をスタートしたことにもあるでしょう。国内外と多くのユーザーに受けるデザインへと進化させたのです。

日産キューブ(3代目)のフロントスタイリング

 ただ非対称デザインでネックとなるのは、海外仕様向けが左ハンドルとなること。グローバル化することで左右ハンドルに合わせ、左開きと右開きふたつのボディを作ることで解決しています。

 パワーユニットはHR15DE型1.5リッター直4エンジンを搭載。トランスミッションは全車CVTとなりました。

 4WDシステムは先代同様、後輪を電気モーターで駆動するe・4WDを引き続き採用。ただし、モーターの大型化や電流量やトルクをアップしCVTとの協調制御を施すなどの改良が加えられています。

日産キューブ(3代目)のリヤスタイリング

 キューブの特徴といえるユーティリティ性能は、2代目からさらに拡大。100mmホイールベースを延長したことでリヤシートのニールームは45mm拡大、ヒップポイントは70mm後退しています。また、後席乗員の開放感を高めるため、リヤシートのヒップポイントを前席より64mm高めたシアターレイアウトを採用しました。

 2代目のインテリアも外観同様こだわられていましたが、3代目は大きく進化。ジャグジー・ラウンジをテーマにくつろぎ感にこだわったデザインを採用。また、自分の部屋でリラックスするような居心地の良さにこだわった空間に仕立てています。柔らかな透過光が室内を照らすSHOJIシェードなど、細かい工夫も話題を呼びました。

日産キューブ(3代目)のSHOJIシェード

 3代目はデビュー後、細かい改良やマイナーチェンジが行われましたが、2019年をもって生産終了。惜しまれながらもキューブは2020年に販売終了となっています。

キューブキュービック(2003年)

 2代目キューブ登場時、ユーティリティ性能を高めたコンパクトカーだけでなく、3列シートを備えたマイクロミニバンのトヨタ・カローラスパシオやホンダ・モビリオが人気を集めつつありました。

 そんな流れを受けたのか、2代目キューブの全長とホイールベースを170mm延長し、3列目シートを配した派生車のキューブキュービックを登場させました。ベースとなったキューブの個性的なデザインを崩すことなくボディを拡大したことにもこだわって開発されたことで、良くも悪くも見た目の違いは大きくありません。

日産キューブキュービックのフロントスタイリング

 同車の3列目シートは、大人が乗車するには厳しいスペースでしかありませんでしたが、ユーティリティ性能が大きく向上したのは確か。3列目シートは簡単に格納できるので、キューブより広いラゲッジスペースが活用できます。

 パワーユニットはキューブに搭載されているCR14DE型1.4リッターエンジンそのまま。とはいえ大きくなったボディに合わせるべくトランスミッションは専用のチューニングが施されています。

日産キューブキュービックのリヤスタイリング

 残念ながらキューブキュービックはキューブほど売れず、3代目キューブの登場とともに販売は終了。その後、トヨタ・シエンタやホンダ・フリードなどマイクロミニバンが人気になっていきますが、3代目キューブに3列シート車は設定されませんでした。

まとめ

 3代目から4代目へのフルモデルチェンジが行われないまま、ブランドが消滅してしまったキューブ。日産の業績不振やグローバル化の失敗、3代目に3列シート車が未設定などさまざまな理由があったかと思いますが、キューブ廃止は多くの人から惜しまれました。

 ただ、ノートをベースとしたコンパクトミニバンが開発中との噂も。そのクルマがキューブと名付けられるかは不明ですが、どのようなモデルとなって登場するか、いまから楽しみです。


手束 毅 TEZUKA TSUYOSHI

フリー編集者/ディレクター

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