この記事をまとめると
■ユーノスコスモについて解説
■1990年に登場したラグジュアリークーペ
■ロータリーエンジンを採用していた
ユーノスコスモとは?
SUVとは違い国内外市場で存在感がなくなりつつある2ドアクーペ。ただ少なくとも2000年くらいまでクーペは若者を中心に、大きな人気を得ていました。
今回紹介するユーノスコスモはクーペ全盛の1990年に登場。当時としてはまだ珍しかった全車3ナンバーのラグジュアリークーペとしてデビューしています。
国産クーペのトヨタ・ソアラをはじめ、メルセデス・ベンツSL、ジャガーXJ-Sなどの海外モデルをライバルとして開発されましたが、それらと異なるのはパワーユニットにロータリーエンジンを採用したこと。
RX-7に搭載されている13B型2ローターエンジンに加え、量産車初となる20B型3ローターエンジンも採用したことで、SLやXJ-Sが搭載する5リッターオーバーのV8エンジンに対抗しました。
国内外市場で高級クーペの需要があるからこそ登場したユーノスコスモでしたが、開発コンセプトは1967年にデビューしたコスモスポーツを復活させること。
ただコスモスポーツをもとにし、デザインこそ同車のイメージを残しましたが、小型車の枠にとらわれない個性的なフォルムを採用。パワーユニットはレースで活躍していた3ローターエンジンを搭載し、現代(当時)のスペシャリティクーペに仕立てられました。
ユーノスコスモの特徴とは?
特徴その1:世界唯一の3ローターエンジンを搭載
ユーノスコスモ最大の特徴は、世界初の3ローターエンジンを搭載したことなのは間違いありません。
654cc×3の20B型3ローターエンジンはもちろん市販車では初搭載。合わせて量産車世界初のシーケンシャル・ツインターボとインタークーラーを装備して最高出力280馬力、最大トルク41.0kg-mと、とくに強烈なトルクを発揮するパワーユニットに仕立てられました。
ハイパワーを実現した3ローターエンジンと運転状況に応じて順次ターボを作動させるシーケンシャル・ツインターボにより低回転からでの高いトルクを得ることが可能となり、加速はもちろん高級車にふさわしいゆとりがある走行性能を実現しています。
特徴その2:RX-7ゆずりのフロントミッドシップシャシー
ユーノスコスモはFRレイアウトを採用。コンパクトなロータリーエンジン搭載車という特徴を活かし、エンジンやトランスミッションをホイールベース内に集中して配置するフロントミッドシップレイアウトを採用しました。
このレイアウトを採用したことで、回頭性をはじめとする優れた操縦安定性を実現していることが特徴です。
フロントはダブルウイッシュボーン式、リヤはマルチリンク式サスペンションを採用。リヤダンパーには左右2本ずつのツインダンパーを装備し、走行性能を高めただけでなく乗り心地の向上にも貢献しました。
特徴その3:フランス産檜など素材にこだわった豪華インテリア
有機的な一体感をテーマにデザインされたユーノスコスモのインテリア。「贅を尽くした」と表記したくなるほど質感にこだわった室内は同車の大きな特徴です。
クルマのインパネというよりモダンな部屋をイメージする同車の室内は水平基調でデザイン。ドアトリムからセンターコンソール、リヤトリムと一体的な造形で仕立てられました。
従来の高級車とは異なりウッドの使い方もこれまでにない配置がされていて、それはいま見ても新鮮。
その木目パネルはフランス産の檜材(加工はイタリア・ミラノ)を用い、本革張りのシート素材はオーストリア製の最高級品を使用するなど各種素材もこだわれています。
特徴その4:最新(当時)ナビシステムCCSを装備
いまでは当たり前となった車載ナビですがユーノスコスモが登場した1990年はまだ黎明期。ブラウン管モニター上に電子地図を表示する(だけの)ナビが主流でした。
そんななかユーノスコスモに搭載されたのが世界初となるGPSナビ“CCS(カー・コニュニケーション・システム)”。
GPSに加えて地磁気感知やビーコンも状況に応じて選択しながら利用できる、当時としては最新の複合システムだったCCSですが、もちろん現在のナビと比べると操作はかなり面倒。現在地や目的地の電子地図のエリア選択からスタートし、ゴールまで走行する高速道路なども選択した上で目的地までのルートが表示されるというものでした。
ユーノスコスモ登場後、検索機能やルートガイドを可能としたナビが続々と登場していきましたが、CCSが車載ナビの機能発展に大きく貢献したのは間違いありません。