7リッター超えのエンジンでFF駆動ってやっぱアメ車は何かが違う! 「黄金郷」を名乗るキャデラックが凄すぎて笑う (2/2ページ)

乗る者を桃源郷へと誘う世界最大級のFF車

 1967年発表の第8世代エルドラド。このモデルは基本設計からそれまでのエルドラドを大きく見直したものだった。そのデザインを担当したのは、当時GMのチーフ・スタイリストであったビル・ミッチェル。彼はこれまでのエルドラドとは異なり、よりシャープなライン構成でエルドラドのボディを描き上げ、これまでのシリーズ62などとは明らかに異なる世代にエルドラドは入ったことを表現してみせた。

キャデラック・エルドラド(8代目)のフロントスタイリング

 稼働式のカバーで昼間にはヘッドライトを隠す手法も斬新なアイディアのひとつだった(これはのちに公布された新たな連邦安全規制により1969年には廃止されてしまう)。搭載エンジンも新型の7.7リッターV型8気筒OHVに置き換えられ、375馬力の最高出力と712Nmの最大トルクを発揮。販売台数も2万4528台と過去最高を記録した。駆動方式がRWDからFWDへと変化したのも見逃せない。

キャデラック・エルドラド(8代目)のV8エンジン

 1971年に誕生した第9世代のエルドラドは、あらゆる意味でキャデラックの頂点を極めた一台といえるのかもしれない。まずカスタマーを喜ばせたのはコンバーチブルの復活。ホイールベースはさらに3208mmにまで拡大され(先代モデル比で160mmプラス)、全長も同様の比較で77mmプラスの5690mmという数字にまで至っている。

キャデラック・エルドラド(9代目)のフロントスタイリング

 搭載エンジンは1970年モデルですでにオプション設定が始まっていた8.2リッターのV型8気筒を採用。最高出力で400馬力、最大トルクでは746Nmを誇るこのエンジンは、1975年までこのエルドラド以外では選択できない、非常に貴重なパワーユニットでもあった。それがセヴィルを除くキャデラックの全モデルで搭載できるようになったのは1975年以降のことになる。

キャデラック・エルドラド(9代目)のエンジンルーム

 現在では、セダン系は「CT」、SUVやクロスオーバー系はエスカレードなどを除いて「XT」で始まる車名を用いるキャデラックのプロダクションモデル。このエルドラドにかぎらず、昔から馴染みのあるネーミングを復活してほしいと願うのは、筆者だけではないだろう。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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