モーターは設定次第で「別のエンジンか」というほど感触に違いがでる
エンジンも、排気量や、過給の有無などによって、いろいろなエンジン特性を設計することができる。しかし、それとは別に、エンジン内の摩擦損失の多少などが、回転の吹き上がりの良し悪しなどに影響し、エンジンの製造精度が問われる面がある。エンジン単体の設計だけでなく、製造工程でいかに精度高く仕上げられるかが、吹き上がりの良いエンジンのカギを握る。
また、吸排気バルブの開閉時期や、点火時期などの違いによっても、どれくらいの回転数で滑らかにまわるかといった特徴に違いが出る。たとえば、ホンダのVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)は、低中速回転域と高回転域で、別のエンジンではないかというほど出力特性も、回転の感触も違ってくる。
一方モーターは、内部の磁力の効果で回転力を生み出すので、当然ながら磁石に使う銅線の巻き方により多少の違いは出るが、回転の感触や力の出具合は、述べてきたように電流調整の仕方にかかっている。
それは、簡単なようで、じつはモーターやEVの開発者が、どのような走りや加速をさせたいかという、開発目標が明確でなければ、プログラムを設計できないことになる。開発目標があいまいだと、面白みのないEVになってしまう。
また、加速だけでなく回生も関わるので、バッテリーの充放電特性も考慮しなければならず、それには、バッテリーの安定的な温度管理も必要だ。
エンジンとモーターのどちらがいい動力として容易かではなく、いずれにしても、設計者や開発者が、具体的に明確な性能目標設定できるかが問われている。