普及すればクルマの世界がガラリと変わるかもしれない
次に、「日本でもっとも盗まれているクルマ」という不名誉な称号を与えられてしまっている、トヨタ・ランドクルーザー。その最新モデルである300系には、新たに指紋認証スタートスイッチが装備されました。
これは、たとえリレーアタックなどによってロック解除されてしまっても、あらかじめ登録された指紋を認証できなければエンジンを始動できないようにするというシステムです。やり方としては、スマートキーを携帯し、ブレーキペダルを踏みながらスタートボタン上の指紋センサーにタッチすると、車両に登録された指紋情報を照合し、一致した場合にエンジンが始動するというもの。
もちろん、窃盗グループは次々と新たな手法で盗みを働くため、これで100%安心というわけではないですが、すんなりと持って行かせないためのハードルにはなるのではないでしょうか。
そして、そんな車両盗難にも効果を発揮してくれそうなのが、タイヤブランドで有名なコンチネンタルが開発した、顔認証でエンジン始動から高速道路のゲート通過、給油決済などができるという最先端の生体認証システム。
これは、コンチネンタルのパートナー企業が持つ独自の技術「トライナミクス・フェイス・オーセンティケーション」を使ったもので、これまでのように車両側にセキュリティシステムを搭載するのではなく、登録されたドライバーの顔をクルマが認識しなければ、エンジン始動も運転もできないということになります。
要するに、私たちが使っているスマートフォンのFaceIDと同じですね。このシステムには2D認識でドライバーの顔を捉えるカメラが使用されますが、それは髪型や肌の色といったもので認識するのではなく、目に見えない光の照射によって、顔を規則的なドットパターンで照らし、その反射を赤外線カメラで撮影したデータをソフトウェアのアルゴリズムで解析するのだそう。
これによって、本物の人間の肌と写真やパネル、シリコンマスクのような偽物を区別することができるのだとか。いわゆる“なりすまし”にも負けないということですね。これが実用化されれば、もしかすると車両盗難は激減するのではないかと期待が寄せられています。
ということで、次々と登場するハイテク技術。いつの日か、「昔はクルマにキーっていうものがあってねぇ」なんて、子どもや孫に説明して驚かれることがあるのかもしれないですね。