街の景観と利便性の両立を考える時代
似て非なる話かもしれないが、日本では東京の首都高速(首都高速道路)にて都心環状線の日本橋地区の地下化工事事業が始まっている。首都高速都心環状線では、用地取得の関係から川や道路の上を走る高架道路となっていることが多い。当該区間では川の上に現状では高架という形で首都高速が走っており、日本国道路元標があり「お江戸日本橋」でも有名な日本橋の上にも首都高速が走っている。開通から半世紀が経ち、高架道路も相当傷んでおり抜本的な改修が必要とされるなか、景観面もあって地下化することが決まったとのこと。ちなみに地下化工事は2035年、高架道路の撤去作業は2040年に終了予定となっている。
韓国の首都ソウルでは、かつて市内中心部を流れる清渓川を暗渠(フタをすること)とし、その上を高架道路が走っていた。資料によると当時はどぶ川だったということもあり、このようなことになったようである。ちなみに高架道路は1971年に完工している。
その後、21世紀になると高架道路の老朽化が問題となり、2002年の市長選挙のとき、後に大統領にもなる李明博氏が川の復元を公約のひとつとして当選。その後、高架道路が撤去され、清渓川が復元されることとなった。単なる景観や高架道路の老朽化というだけでなく、周辺地域の活性化というものもあったようだ。いまではソウル市内の観光スポットとしても有名となっている。
CA90が公園や住宅地に変化するとの報道を受けて、似て非なるものであるが、ソウルではすでに景観が大きく変わり、東京でもすでに大きくその景観を変えようとするプロジェクトが動いていることを思いだしてしまった。