話題の「HYPER」シリーズがついに実車で現る
「HYPER FORCE」に次いで注目したいのは「HYPER TOURER」だろう。その姿から日産ファンが首を長くして待ち続けている、国産LLミニバンのアレの次期型を予感させることは誰が見ても明らかだ。とくにウインドシールドからクリフカット気味のリヤピラーに至る、グリーンハウスのデザインにそれを強く感じる。
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正確なディメンションは不明だが、F52型エルグランドに比較すると全高は高めで、先代のF51型あたりに近い印象だ。目を惹くのは、助手席側がセンターピラーレス、前後スライドドアとなっている点で、もしこれが近未来的に国産LLミニバンに採用されるのであれば、さぞやニュースとなることだろう。
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デザインテイストは「HYPER TOURER」、「HYPER PUNK」ともに、アリアで評判を呼んだ、和のテイストが散りばめられており、「HYPER TOURER」には組子細工風のパターンがホイールやインテリア随所に散りばめられ、インテリアを前後に貫くセンターコンソール(ブリッジ)には南部鉄器風のセレクターが備わるなど、ディテールへのこだわりを発見する楽しみがある。日本の自動車メーカーゆえに、その出自を明らかにしてプライドに変え、個性として打ち出すという手法はグローバル化が進む今だからこそ、意味があるのかもしれない。
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「HYPER PUNK」は折り紙を組み合わせた多面体のような内外装の意匠が新鮮。シートベルトのバックルも三角形だったりするのが面白い。
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またスピーカー類には米国『Fender』のロゴが備わることから、オーディオ類にもひと工夫あることを感じさせる。メジャーなものに迎合せず、個性の尊重と流れに逆らうような反骨精神こそがパンクの名を語るに相応しい。そんなことを感じさせてくれる1台に仕上がっている。
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「HYPER ADVENTURE」、「HYPER URBAN」の2台に関してはヴァーチャル展示のみなのが惜しいが、やはり両車ともにe-4ORCEを活かした高い走破性、その先にある自動運転を見越した、「運転すること以外」あるいはそれ以上となる、自動車を新しい楽しみ方を提案しており、JAPAN MOBILITY SHOWを単なる新車発表の場としてではなく、将来的なモビリティのヴィジョンをアピールする機会と考えたいという日産の思惑が見て取れた。
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また電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」の走りを体感できるドライビングシミュレーターも魅力的だ。「e-4ORCE」のオンオフによる走行フィールの違いを、「北極の凍結路」、「ロッキー山脈のワインディングロード」、「サンフランシスコのハイウェイ」、「アンデス山脈の岩道」、「アタカマ砂漠の砂道」、「南極の積雪路」という6つのステージから選んで体験できるというもので、最後は記念撮影も行えるほか、撮影データをダウンロードもできる。
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さらに、今回発表の5モデルが登場する冒頭でお伝えした人気ゲーム、「FORTNITE(フォートナイト)」を実際に遊ぶことができるコーナーも用意されているので、プレイしたことがある人はもちろん、気になっている人や初めて知った人も気軽にゲームの世界や今回のコンセプトカーを通じたさまざまな体験ができる。
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車両展示の他、物販コーナーは日産やNISMOのグッズに加えて、HYPER兄弟の各車のキャラクターに合わせた、アパレルやノベルティも販売されており、実車を見た後はついつい手に取りたくなるものがある。2023年の12月で日産は創立90周年を迎えるとあって、それにまつわるグッズ、なかでもBE@RBRICKは注目を集めていた。
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上記ショーモデルのほか、NISSAN GT-R NISMO Special edition、フェアレディZ NISMO,、スカイライン NISMO、フォーミュラEレーシングカー、さらにリーフ、サクラ、エクストレイル、セレナ、キックス、オーラ各車の90周年記念車も展示予定だ。是非足を運んで日産の近未来を感じてほしい。