ジャパンモビリティショーの日産ブースは会場一の大注目エリア!
日産ブースはプレスカンファレンスの1時間以上前から大賑わいだ。巨大なバックスクリーンには、「HYPER TOURER(ハイパーツアラー)」、「HYPER PUNK(ハイパーパンク)」、「HYPER ADVENTURE(ハイパーアドベンチャー)」、「HYPER URBAN(ハイパーアーバン)」のHYPER兄弟(と勝手に命名)とペアリングされた、日産のオリジナルキャラクターによるイメージ映像が映し出される。ちなみに彼は、世界的人気を誇るゲーム、「FORTNITE(フォートナイト)」内にも登場するという。
スクリーンの前には「HYPER TOURER」、「HYPER PUNK」の実車が置かれており、否応なしにテンションが上がってくる。
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しかし、どうにも気になるのは、その前方、ステージ前には黒い布に覆われた、ひと際背の低い“なにか”。カバーをかけられた状態でもリヤフェンダーのエッジ、ルーフラインなど、そのシルエットだけでもGT-R一族であろうことは容易に想像できる。
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そして迎えた正午、黒い布に覆われたそれのテールランプがぼんやりと点灯する。丸目4灯! やはりGT-Rか!? さらにカバーが一気にめくられると、なかから現れたのはやはり紛うことなきGT-RのDNAを色濃く感じさせるスーパーカーで、その低さに圧倒される。しかし、名称はGT-Rの「ジ」の字も無く、「HYPER FORCE(ハイパーフォース)」を名乗る。これで、HYPER5兄弟が揃ったというわけだ。
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なお、この「HYPER FORCE」は全固体電池と高出力モーターをパワートレインとする、電動駆動4輪制御技術、「e-4ORCE」の搭載を前提としたデザイン・スタディだというが、荒唐無稽な未来のクルマではなく、“そこにある未来”といった感であれやこれや妄想してしまう。
細かいスペック的なものは基本的に公開されていないが、「HYPER FORCE」のリヤホイール前方には、スカイライン好きならR30型スカイラインのRS-TURBOを連想したくなるゴールドのゴシック文字で、「1000KW ASSB ADVANCED E-4ORCE」と書かれている。その数字を信じるならば約1360馬力となり、現行GT-Rの2倍のパワーで大地を蹴とばす、というよりへばり付くように走ると言ったほうが正解か。
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ゴールドの文字以外にも巨大なフロントエアダムにはスカイラインスーパーシルエットを、ヘッドライトやグリルの意匠にはBNR34 GT-Rを感じるなど、それとなく過去のスカイラインたちへのオマージュが込められているのは日産ファンには感涙ものだろう。
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前後に配置された2つのモーターを制御するのはバイワイヤで、R35のように前後輪をメカニカルにシンクロさせるためのトランスアクスル4WDは必要なく、当然センタートンネルの盛り上がりもなく、フロアはフラットとなっている。これを次期GT-Rだと断言するには時期尚早だが、デザインを含めてひとつの手がかりとして考えるくらいは許されるだろう。
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「HYPER FORCE」の詳細は別記事に譲るが、デザイン優先のスタディモデルではなく、圧倒的なコーナーリングパフォーマンス、VR・AR技術のシームレスな活用、安全性能を重視して、それらを反映したものが、結果としてこの形になったという。デザイン性を優先したような各部の形状だが、そのほとんどがダウンフォースの軽減か、ドラッグの低減で説明が付く、実効的なものなのだ。
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