タイヤが1本パンクしても走り続けられる
まずはe4プラットフォームと呼ばれる4輪独立モーターで、それぞれのホイールに装着されたモーターを緻密に制御することで、従来の常識が通用しない走り、運動性能を実現しているのだ。たとえば、戦車のようにその場で360度回転できる「タンクターン」は、大柄なボディをマイクロカーのように振りまわせる。あるいは、4本のうち1本のタイヤがバースト、パンクしたとしても平然と走り続けられるなど、クルマの動きとしてはじつに斬新なもの。
また、BYDが注力している新たなサスペンションシステム「Di Sus」もU8専用設計となり、無類の走破性と乗り心地を両立したという。驚くべきは、水陸両用車並みに水上走行が可能というポイント。水深1.5メートルまではタイヤで走行し、それより深くなるとボディが浮いて進んでいくというのだ。これは富裕層ならずとも見逃せないアドバンテージで、並いるハイエンドSUVが軒並み悔しがること間違いない。
4モーターを搭載するハイパーモデルといえば、ここ最近ではリマック・ネヴェーラが注目に値するパフォーマンスを発揮している。およそ1900馬力を発揮し、0-100km/h加速1.97秒と素晴らしいものだが、その分お値段も240万ドル(およそ3億3000万円)と目をむくような設定。一方、U8の価格は未公表ながら2000万円程度に収まりそうな雰囲気。これは比べる方が間違っているかもしれないが、バリューフォーマネーという面では明らかにU8に軍配が上がるのではないだろうか。その証拠に、中国本土では正式発売前にもかかわらず予約が殺到しており、その数は数千台におよぶという。
モビリティショーの会場で、日本への導入を尋ねたところ、前述の予約数もあってか「望み薄」との返答。だが、U8の上陸に期待を寄せるユーザーは決して少なくないだろう。