クルマ好きの桃源郷「ガレージハウス」! 建ててから「失敗した〜」とならないための必要装備12+α (2/2ページ)

そのときは不要でも備えておくべし!

エアコン

 季節を問わず安定した湿度と温度を保ちたいなら、思い切ってガレージ専用のエアコンを設置するのもアリです。基本的に24時間・365日まわしっぱなしで高温多湿な時期には除湿モード。また、いきなりフル稼働ではなく、ひとまず設置してみて「高温多湿な時期だけまわしっぱなし」という使い方もありです。ここまで大切に扱ってもらえたら愛車も本望でしょう。

建てる前に付けたい装備と気をつけることをガレージ所有者が伝授

換気扇

 クルマのガレージ保管をする際の最大の敵といえば湿気。とくに梅雨時〜秋口までは高温多湿に悩まされる地域も多く、ちょっと油断すると車内にカビが……なんてことにもなりかねません。そこで、ガレージ内の空気を循環させる換気扇も必須アイテム。前述のエアコンを24時間、365日作動したままにできる方は限られると思うので、ホームセンターで売られている除湿剤と併用して、こまめにチェックが必要です。

ガレージ内の換気扇のイメージ写真

リフト&コンプレッサー

 DIY派の旧車オーナーにとって、ガレージ内にリフトが置ければ……と思った方も少なくないはず。天井高の確保や床に基礎をしっかりと打ち付けるなどのハードルがありますが、自身のガレージで思う存分整備ができるのはかなり魅力です。それなりの出費(取り付け費込みで少なくとも数十万円単位)が伴いますし、住宅密集地であれば、近隣への配慮も必要です。過去の取材で、周囲との軋轢を避けるため、設置を断念した方も実際にいました。

クルマを持ち上げるリフトのイメージ写真

排気ガス集煙装置(排気ダクト)

 梅雨時や降雪地域の冬場など、長期間、愛車のエンジンがかけられない……。やむを得ずガレージでしばらくアイドリングさせることもあるでしょう。ガレージ内にこもる排気ガスは、マフラーの出口に排気ガス集煙装置(排気ダクト)を取り付けることで対処できます。ガレージの設計時に備えつければ綺麗にレイアウトできますし、DIY派であれば後付けかつ安価で済ませられます。ただし、屋外へ排気させる場所にはかなりの配慮が必要です。設計士の方との綿密な打ち合わせが必要な項目といえるでしょう。

簡単に汚れが拭き取れる床

 ガレージの床面はコンクリートを敷き詰めるケースが多いようですが、旧車につきものなのがオイル漏れ。コンクリートにオイルがにじむとなかなか落ちませんが、ガレージに駐車するだけなら段ボールを敷くことで対処できます。見た目にこだわるなら、ガレージの雰囲気に合う柄(タイル柄など)厚手のビニールクロスを上に敷き詰めてもいいですし、DIY派であれば、整備工場のようにリノリウムの床にできれば理想的です。

ビルトインガレージ内のイメージ写真

充分な駐車スペース

 限られた立地でどうにかビルトインガレージの家を建てるわけではない限り、愛車の左右のドアが余裕をもって開けられるほどの横幅を持たせることを強くおすすめします。ギリギリのスペースで設計すると、ガレージ内で愛車を磨いたり、ちょっとした作業をするのも一苦労です。万が一、愛車を乗り換えることになった場合、ガレージの駐車スペースが足りないから断念……なんてことは避けたいところです。

ガレージ内のイメージ写真

余談:談話室(あるいは工作室)

 ガレージに隣接する談話室(あるいは工作室)があるだけで「家庭内における自分の居場所」が確保できます(笑)。押し入れに眠っていた雑誌やカタログ、小学生の頃から買い集めてきた秘蔵コレクションのミニカーなど、自分の好きなものを自由に並べられます。勢い余って大画面テレビとソファとパソコンも置いちゃったりして、まさに自分だけの城の完成です。また、DIY派であれば専用の工作室が確保できるだけで作業の幅がグンと広がります。

ガレージ内のDIY用の工作机のイメージ写真

 休日にリビングのソファでゴロゴロしていると奥さまに嫌味を言われますが、談話室(あるいは工作室)にこもっている分には適度に距離感が保てているので黙認してくれルカもしれません。一定の世代には懐かしいあのCM「亭主元気で留守がいい」というわけです(笑)。ただし、気がつけば仲間のたまり場になったり、朝から晩まで談話室(あるいは工作室)にこもっていると、それはそれで小言を言われるので要注意です。

 夢と理想のガレージを造ることができたのも、奥さまや家族の理解があってこそ。日々のケアを怠ると、のちのち、大変なことになりかねません。

■まとめ:ガレージは3度建ててみないと理想のカタチにはならない?

 筆者自身、数年前に一大決心をしてビルトインガレージの家を建てました。現在、20**年ローンの旅(つまり長旅)の真っ最中です。冒頭の電動シャッターは付けましたが、予算と立地の関係で、上記に挙げた大半の項目を断念しました。

ビルトインガレージのイメージ写真

 梅雨時はホームセンターで売られている除湿剤を3〜4個設置し(設置日を忘れるので容器に書くようにしています)、水が溜まったら交換。早いときだと1カ月くらいで満杯になるので、常に予備の除湿剤を確保しています。

 ガレージを造る前にもさまざまな悩みがありましたが、完成したら今度は新たな問題が発生します。「家は3度建ててみないと理想の住まいにはならない」といった格言を目にした記憶がありますが、ガレージも同様。完成してから初めて気がつくことって多いんですよね……。

 ガレージハウス、あるいは敷地内にガレージを設置する場合、本やYouTubeだけでチェックするのではなく、実際に友人・知人のガレージ(それも複数)を訪ねて、使い勝手をじっくり確認してみてください。


松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

愛車
1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
好きな有名人
藤沢武生

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