この記事をまとめると
■三菱の代表的コンパクトカーとなるべく誕生した「トレディア」と「コルディア」
■ベースのミラージュにはない1.8リッターターボや日本初の1.6リッターターボを設定
■販売面ではランサーEXに売り上げで負けてしまったため1代限りで消滅した
FFコンパクトの波に乗れなかったトレディア/コルディア
残念ながら現在はその名前を持つ車種は途絶えてしまっているが、三菱を代表する車種のひとつであったランサーは、1973年に初代が登場して以来、三菱の小型車として中核をなしていた。しかし、1980年代に入るとスペース効率に優れた前輪駆動レイアウトの小型車が増え、三菱も前輪駆動レイアウトを持つミラージュをベースとした小型車をリリースすることになる。
それが、1982年2月に登場したトレディア/コルディアと名付けられたモデルであり、前者は4ドアセダンボディでミラージュ/ランサーフィオーレと上級車種ギャランΣ(シグマ)/エテルナΣ(シグマ)の間の位置づけ。
そして後者のコルディアは3ドアクーペボディでランサーセレステの後継として販売された。
ミラージュのコンポーネンツを流用していたとはいえ、ミラージュには存在しない1.8リッターエンジンもラインアップされたほか、当時の三菱は「フルラインターボ」のスローガンを掲げていたことから、1.8リッターモデルにはターボ仕様も用意。さらに日本初の1.6リッターターボも設定されていた。
また、当時としては最先端の空力に対する処理も行われており、絞り込まれたノーズや角型のリヤホイールアーチ、ダックテール風のリヤの処理(コルディアのみ)などが採用され、CD値はセダンで0.39、クーペで0.34と当時としては良好な数値をマークしていたのだ。
トレディアという車名は、イタリア語で3を表すTREと、ダイヤを表すDIAの組み合わせで生まれた造語であり、意味は言うまでもなくスリーダイヤ=三菱というものということで、この車両にかける三菱の想いがどれほどだったかが伝わってくるだろう。
なお、コルディアは正式に販売がスタートする前年、1981年の東京モーターショーにも展示されており、ここでも力の入れようを感じ取ることができる。
しかし、ふたを開けてみると販売面では大苦戦を強いられる。ランサーセレステと入れ替えで登場したコルディアは比較的堅調なセールスを見せていたが、セダンボディのトレディアは併売されていたランサーEXの方が倍近く売れるありさま。結局、引導を渡すハズのランサーEXに逆に引導を渡される形となり、1代限りで消滅することとなってしまった。