この記事をまとめると
■中谷明彦さんが富士スピードウェイで新型メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンスに乗った
■2リッター直4ターボにモーターを組み合わせたPHEVの4WDモデルで最高出力は680馬力
■本コースの全開走行で、メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンスの潜在能力の高さを確認した
従来の4リッターV8を凌ぐ2リッター直4+モーターのスペック
2023年10月25日、ジャパンモビリティショー会場でアンベールされたのがメルセデスAMG C 63 S E-performanceである。メルセデス・ベンツの量販車であるCクラスをベースとしてAMGが仕上げたホットモデルだ。Cクラスベースとしては、C 45やC 53モデルも設定されていたが、C 63は最上級の高性能モデルとして知られる。それが今回「E-performance」として電動化されたことで、大きな進化を果たしているのだ。
我々は発表に先立ち、このホットモデルを富士スピードウェイで限界走行を行なうチャンスが得られたのでリポートしよう。
外観的には従来のC 63 Sから大きく変化していない印象。フロントフェンダー横に「E-performance」のエンブレムバッチが貼られていること、車体後部に充電口らしき蓋が配されているのが見て取れる。そう「E-performance」とは電動化されたプラグインハイブリッドモデルなのだ。メルセデスAMGはこのシステムをP3HVとして呼称を定め、世にある一般的なPHEV(プラグインハイブリッド)とは一線を画すとしている。
一般的なPHEVは大きなバッテリーを持ち、急速充電に対応し、また外部給電(V2HやV2L)なども行えたりする。しかし、C 63 S E-performanceは普通充電のみに対応し急速充電や外部給電機能は持たない。電動モーターのみの航続距離は最大12km程度とほかのPHEVに比べても少ない。それもそのはずで、搭載しているリチウムイオンバッテリーは6.1kWhという容量。これをリヤアクスル上に配置し、モーターやデファレンシャルなどと一体化して電動ユニットとしているのだ。
また、C 63 Sといえば、従来は4リッターV型8気筒ツインターボエンジンを搭載し、510馬力という最高出力を誇り、迫力あるエンジンサウンドが特徴だったが、新型は2リッター直4ターボへとスケールダウンしている。これだけを知るとC 63は牙を抜かれてしまったのかと危惧するところだが、スペックを知ると驚かされる。
まず、エンジンは2リッターの排気量ながら476馬力の最高出力を発生する。同じく2リッター直4ターボエンジンを搭載するA 45シリーズは421馬力の最高出力でリッター当たり210馬力というクラス最強のパワーを誇っていたのだが、それをさらに55馬力も上まわっているのだ。加えてリヤアクスルに搭載される電動モーターは204馬力を単体で発し、システム出力としては680馬力に達する。つまり、V8ツインターボの従来型C 63 Sのパワースペックを170馬力も上まわり圧倒しているのだ。
いよいよコースインする。ドライブモードはAMG車の常として「コンフォート」から「レース」まで備えるが、電動モデルとして「エレクトリック」モードも追加されている。
サーキットでの全開走行は「レース」モードで行うのが相応しい。