近頃はスペアタイヤを積んでいないクルマも多い
テンパータイヤの寿命はどれくらい?
航続距離の目安は上記のとおりですが、一度ある程度の距離を走行してしまった場合は交換しておいたほうがいいでしょう。いざというときに使い古しのテンパータイヤでは、さらに走行可能距離が短くなっているでしょうし、劣化と合わせて寿命も短くなっていると考えたほうがいいと思います。テンパータイヤはタイヤ部の交換も可能ですので、タイヤショップなどで交換しておきましょう。
また、ほとんどのクルマはテンパータイヤの出番がなくて存在を忘れられていることが多いと思いますので、気がついたときには「あれ? これ何年モノだ?」なんて急に不安になることもあるでしょう。
では、年数的にはどれくらい保つのでしょうか? これもあくまで目安の数字ですが、だいたい10年で交換することを推奨されているようです。中古で買った車両で年数がわからないという場合は、タイヤのサイドウォールを見れば数字とアルファベットの組み合わせで製造年数が記されていますので、それを見て判断しましょう。
年数が10年未満でも、保管状態によっては劣化が進んでいる場合もありますので、その際は表面のべとつきや硬化具合、ひび割れが無いかなどをチェックしておきましょう。
他車のテンパータイヤは使っても大丈夫?
さて、出先でパンクしてしまい、テンパータイヤを使おうと思ったらひび割れだらけで使うのがかなり不安な場合や、前のオーナーが外してしまって装備されていなかった場合もあり得なくはないシチュエーションだと思いますが、そんなときはどうしたらいいでしょうか? もし知り合いのクルマと一緒だったり、親切な人が助けを申し出てくれたりした場合、その車両のテンパータイヤを借りて走行しても大丈夫でしょうか?
結論を言うと、タイヤの外周が同じで、車重が大きく違わず、ホイールのPCDが一緒ならOKです(※問題がないとは言いません)。ホイールのPCDが違えばそもそも装着できないので論外として、タイヤの外周が違うと問題なのはなぜでしょうか?
クルマには「デファレンシャルギヤ」という、曲がるときに起こる左右の回転差を調整してくれる機構が備わっています。直進中は左右差がほぼ起こらないため休めるのですが、左右で異なる径のタイヤを装着してしまうと、常に回転差を調整している状態になり、長距離を走るうちに過熱してしまいます。とくに気温が高いときに過熱すると、部品やオイルの許容範囲を超えてしまい、ギヤを傷めてしまうのです。
相手が車重が重い車両の場合は問題になることは少ないと思いますが、軽い車両からテンパータイヤを借りる場合は、ロードインデックス(=荷重指数)が足りないため、場合によっては荷重を支えられず、最悪の場合はバーストを招く恐れがあります。
スペアタイヤが搭載されていない車種もあるらしい
欧州車や高年式の車種ではスペアタイヤを積んでいないモデルもあるようです。いくらコンパクトに作られているとはいっても重量は10キロ以上ありますし、搭載するスペースもバカになりません。なのでいっそのこと取っ払ってしまえ、という大胆な考えでスペアタイヤを排除してしまったのです。
「ではパンクしたときどうするの?」と思いますよね。その対策としては大きく2種類あります。
ひとつは「パンク修理キット」の装備です。タイヤの空気バルブから「シーラント」という、穴をふさぐための液体ゴムのようなモノを流し込み、電動の空気ポンプでタイヤを膨らませる方法です。
もうひとつは「ランフラットタイヤ」の採用です。これはパンクしてもつぶれない構造をもつタイヤで、空気が抜けた状態で応急タイヤと同じくらいの距離を走れます。国産車ではGT-Rなどが採用しています。