輸入車も違うしレクサスもちょっと……じつは新型センチュリーは「ライバル不在」のクルマ! 「こんなクルマを待っていた」富裕層は多い (2/2ページ)

本当の日本の高級SUV登場を待っていた人も多いはず

 ただし、日本国内の販売現場でBEV(バッテリー電気自動車)の販売状況について聞くと、興味深い話を聞くことができた。

 いまは日系ブランドのラインアップはかなり少なく、輸入ブランドのほうがラインアップは多くなっている。しかし、だからといって日本車に乗っている人がBEVに乗りたいからといって、たとえばドイツ系ブランドのBEVに乗り換えるというと、そのような動きは目立っていないとのこと。かえって「日本車ユーザーの多くは日本メーカーからBEVが数多くラインアップされ、選択肢が増えるのを待っているようだ」との声も聞かれる。

 つまり、『同じ2500万円なら新型センチュリーではなく、ベントレーを選ぶ』といった購買行動も、まったくないとは言わないが、あまり現実的な話ではないともいえるのだ。

ベントレー・ベンテイガ S ハイブリッドのフロントスタイリング

 新型センチュリーではなく、セダンタイプのセンチュリーの初代が登場したのは1967年。1965年に輸入自動車販売の完全自由化が行われており、アメリカ車を中心とした輸入大型セダンの本格的な国内販売を待ち構えるために、トヨタはまず2代目クラウンをベースにした「クラウン・エイト」を市場投入する。トヨタ以外の日系メーカーでも排気量2リッターオーバーの高級セダンを投入していた。そのなか、トヨタは今回の新型センチュリーのように、和のテイストをふんだんに盛り込んだ初代センチュリーをクラウン・エイトの後継モデルとして市場に送り出し、いまに至っている。

トヨタ・センチュリー(初代)のフロントスタイリング

 新型センチュリーは、そもそもアメリカや中国あたりの海外市場を強く意識しているのだろうが、日本国内では「ベンテイガみたいなクルマに乗りたいけど輸入車だからなぁ」というだけでなく、「レクサスもちょっと違う」といった日本車びいきの富裕層をターゲットにしているのかもしれない。

 残念ながら日本国内でも貧富の差は拡大する一方となっており、超富裕層といっていい階層も今後ますます増えてくるだろう。そのような層を「みすみす超高級輸入ブランドにとられるよりは」という部分もあるのかもしれない。

 新型センチュリーは「センチュリーマイスター」という専門スタッフのいるトヨタ系正規ディーラーでしか購入できないとはいうものの、全国津々浦々に販売窓口があるので、超高級輸入ブランドSUVではフォローできない富裕層の開拓にも適しているといえる。

トヨタ新型センチュリーの2台並び

 現場で話を聞くと、ある販売会社では、センチュリーマイスターは全社で2名しかいないとのこと。そもそも販売台数が多くないこともあるが、大切に売っていきたいというトヨタの姿勢のようなものを感じる。

 車名だけ拝借というのではなく、あくまで「センチュリー」としてのブレない販売体制は、購入を希望する人の心をくすぐるのも間違いないだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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