楽しそうにフリーマーケットを楽しむ姿が印象的
一方で、雨も徐々に小やみになってきて、11時過ぎには晴れ間さえのぞくようになった頃、ルノーのオフィシャルショップには、オーガニックコットンで作られたオリジナルトートやTシャツ、その他のグッズを目当てに、長い列ができ始めていた。というわけで、117台が出展したというフリーマーケットも、徐々に活況を呈してきた。フランスのマルシェを意識した、小洒落た感じの出店も多ければ、ひと昔前の下町のような雰囲気のお店も。でも意外だったのは、小ぎれいなところに限ってフリマ初参加のオーナーが多いという事実だった。
イエローの初代カングーで出店していたダンディな夫妻も、そんなひと組。愛車は4年前に近所の大型中古チェーンでさくっと買ったそうで、他にも1967年式VWタイプ2をお持ちだとか。「私がフリマをやりたくて、だから小カングーしか考えてませんでした」とは奥様。「VWだとパーツを売る店は多いんですけど、そうじゃないのをやりたくて」とは、旦那さんの弁だ。
念願かなって小カングーを入手したらコロナ禍が来てしまい、昨年のイベントは参加だけでフリマの雰囲気を観察、今年やっと念願の出店にこぎ着けたという。「AMI+」というブランド名で奥様が手作りするニットアクセサリーと、年に一度の断捨離を兼ねているアンティーク風のアイテム、いずれもお店として完成度は高い。「雨だけど大き目のスーツケースが売れたから、まずまずです」とのことだった。
さらに少し奥まったところで、イエローの2代目カングーでお花屋さんをしていたのは、葉山からやって来た3人組。ブリキや樹脂のバケツに差したブーケ、ハロウィン用のかぼちゃのこなれ具合からして、プロかと思いきや、普段は飲料メーカー勤めや事務職の方々なのだとか。
「まったくもってサンデーお花屋さんで、カングージャンボリーのフリマ出店も初めてです。お花を仕入れられるツテというかルートがたまたまあったので、店舗を構えるでなく、近隣のイベントや催し事があるたびに出かけています」
カングージャンボリーならではのアイディア商品は、青白赤をあしらったドリンク用カップに差したガーベラのブーケだ。「車内でドリンクホルダーに固定して、お花を楽しんでもらえたらと思い。雨だから思い切って値段も下げてます!」
こういう活気と笑顔がやっぱり、花以上に楽しませてくれる。
続いても花、とはいえ今度はドライフラワーを扱う、イエローの2代目カングーに出くわした。プレゼンのオシャレ度や売り物の完成度といい、今度こそプロの方? かと思いきや、「いえいえ、ドライフラワーは一緒に来ているおかんの趣味で、むしろ売っているのはウッド内装の方なんですよ。彼氏が職人なんです」と、静岡からやって来たワンコ女子は教えてくれた。
聞けば「YURT(ユルト)」というブランドで、「プチ部屋を持ち運ぶ」というコンセプトのもと、カングーやワンボックス車の内装に栂の木を板張りするカスタムを提案しているのだとか。
カングーの楽しさもさることながら、そのオーナーたちの枠にまるでとらわれない自由さ、ちょっとは伝わったでしょうか?