日本車にも「GTI」を名乗るモデルがあった
日本車ではスズキ・カルタス1300GT-iが登場。欧州ではカルタスは当初からスイフトと呼ばれていたので、名実ともにスイフトスポーツの前身と言える。ほかにコンパクトカーではダイハツ・シャレードが、3代目でツインカムターボエンジンを積んだGTtiを用意した。
ゴルフのライバルだった日産パルサーは、4代目でGTIとともに用意されたGTI-Rが圧巻だった。WRCのホモロゲーションマシンとして開発されたモデルで、230馬力を発揮する2リッターターボに4WDをドッキング。でも実戦ではあまり活躍できなかった。
輸入車でゴルフとともに思い出すのが、僕も所有したことがあるプジョー205GTI。ピニンファリーナデザインのボディと切れ味鋭いエンジンのコンビで人気になり、ほかの車種にもGTIが生まれるきっかけになった。シトロエンもCXに続いてBXやAXにGTiを設定していたので、この時代のフランスはGTI/GTiがあふれていた。
いまや知る人ぞ知る存在になってしまったが、英国のローバーにもGTiがあった。ミニの後継車として開発されたメトロの進化版100と、ホンダとの共同開発で生まれた200に用意されていて、排気量を示す2桁数字と合わせて114/220GTiと名乗っていた。
でも、1990年代も後半になると、GTI/GTiは急速に減っていく。さらに高性能なモデルを求めるユーザーが増えるなかで、ホンダのタイプRやルノースポールなど、モータースポーツイメージを濃厚に反映した車種に注目が集まったことが大きい。VWもこれに対応してGTIの上に位置するR(当初はR32)を出すほどだった。
とはいえGTIの本来の意味は、グラン・トゥーリズモ・インジェクションであるわけで、ゴルフGTIは時代に流されず、運動性能と快適性能の両立をブレずに追求してきた。それが半世紀近くもGTIを名乗り続けられる理由かもしれない。