ついに3列シートのカングーが目の前にきたっ! 日本のミニバン危うしレベルの「グランカングー」を徹底的にチェックした (2/2ページ)

ディーゼル+MTのグランカングー導入にも一縷の望み!?

 今回お披露目されたグランカングーのリヤハッチは跳ね上げ式仕様だったが、日本のユーザーの好みに応じてダブルバックドア、つまり観音開きが採用される可能性が高いと、ステージ上のトークで前述のレーヴ氏とルノー・ジャポン社長の小川隼平氏は述べていた。

LCV部門上席副社長ハインツ・ユルゲン・レーヴ氏とプロダクト・ディレクターとルノージャポン社長の小川隼平氏

 またこの日、本国と日本のルノーを代表するふたりは司会を務めた安田大サーカス団長の求めに応じて、ディーゼルMT仕様が導入される可能性にも触れ、まったく否定しなかった。

 気になるボディ外寸は、日本の型式認証前なので欧州発表値ながら、全長は4910mm、ホイールベースはスタンダードモデルより380mmほど延長され、じつに3100mmに及ぶ。全幅1860mmと全高1810mm(ルーフレール込み1854mm)は変わらないだろう。

ルノー・グランカングーのリヤスタイリング

 ちなみにフランス本国のユーティリティビークルは複数のボディサイズが選べ、スタンダード仕様なら「L1H1(LはLongueur=全長、HはHauteur=全高)」、より長い・高いバージョンはL2H2などとコード化される。

 よってグランカングーは、まさしく「L2H1」のカングーバンと同じサイズのボディで、荷室でなく7人乗りの3列シートと、パネルではなくガラスウインドウを備えた仕様となる。とはいえ4.9m超えのこのサイズは、すでに上位車種である「トラフィック」のL1H1に近いサイズ感だ。ステージのあと、展示車両を間近で眺めた観客たちも、そのXXLぶりに目を丸くしていた。

ルノー・グランカングーのフロントスタイリング

 展示車は2ペダルの7速DCTで、ダッシュボードにはグレーのウッドが貼られた仕様だった。搭載パワートレインは、おそらくガソリンのTCe130馬力・240Nmだが、グランカングーにはWLTCモードで265kmの航続距離をもつ100%電気の「E-テック」90kW(122馬力)や、ディーゼルのblue dCi 95馬力・260Nmもしくは115馬力・270Nm仕様などが用意されている。本国のカングー・バン仕様では当然、ガソリンにもディーゼルにも6速MTが設定される。

ルノー・グランカングーのインテリア

 ところで今世代のカングーは、バッテリー容量45kWhをもつEV仕様が存在することで、2列目シートから後方、荷室にかけてのフロアが少し高くなっており、グランカングー3列目の乗員はやや高い視線位置を保つことになる。ルノーはこれを「アンフィテアトル(円形劇場のこと)」効果と呼び、乗員全員が、旅の移動や車内の雰囲気をシェアできると自負する。モノは言い様ということだが、実用性に対して無駄もスキもないフレンチらしさが、グランカングーにも活かされているのだ。

 ちなみにグランカングーの生産はスタンダードモデルと同様、北仏モブージュ工場で行われるが、(日本導入が濃厚な)グランカングーのダブルバックドア仕様は工場内で生産ラインを外れて、特装車両部門で仕上げられる可能性が大きいという。つまり、あまり早いペースで大量生産できるタイプのクルマではないので、欲しい人はオーダーできるときをチャンスと捉えて、早めに動いて間違いなし、といえる。


南陽一浩 NANYO KAZUHIRO

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