レースシーンに必要な技術と集中力はジムカーナで身につけた
こうして自身2度目の全日本ジムカーナ選手権にチャレンジした田中選手だったが、残念ながら出走前に雨が降り始めたことで、第1ヒートはウエットコンディションのなかで出走。「4年前のときよりも入念に完熟歩行したおかげで、イメージどおりに走れていたんですけどね。予想以上にグリップしたところがあってパイロンにタッチしてしまいました」と語るにように、第1ヒートはペナルティが加算されたことで19位に沈んでいた。
しかし、第2ヒートで田中選手は素晴らしいアタックを披露。第1ヒートの中盤から雨が止み、路面コンディションもドライに変貌。その後、第2ヒートの出走前に雨が降り始める難しいコンディションとなるなか、田中選手は約4.5秒のタイムアップを実現し、26台中7位で完走を果たした。
「最初は分からなかったですけど、ジムカーナを始めたことで、荷重移動など基本的なクルマの動かし方を学ぶことができました。もし、ジムカーナを経験せずに、いきなりレースを始めていたらダメだったでしょうね」と語るように、まさにジムカーナは田中選手の原点。
「ジムカーナは1台ずつアタックするので、バトルに関してはレーシングカート出身のドライバーのほうが上手かったけれど、クルマのコントロール技術は学べたし、FJ1600を始めたときも低速コーナーはうまく走れました。それにジムカーナはタイヤやブレーキの冷えた状態でアタックしなければならないですからね。それを経験したことで集中力が身についたし、レースでも予選が得意になりました」とのことで、ジムカーナで磨いたテクニックがレースシーンでも活かされているようだ。
「全日本ジムカーナはやっぱりレベルが高いですね。トップ争いをしている選手ならレースでも速いと思います。最近はジムカーナからレースへ……といったパターンは少ないけれど、昔は星野(一義)さんや松本(恵ニ)さんなんかもジムカーナをやっていたので、そこで技術を磨いたんだと思います」と語る田中選手。
さらに、ジムカーナの魅力について「サイドがうまくいったり、いかなかったり……という部分だけでもチャレンジングなところですし、そもそもタイムを測っているので、やっぱり面白い。それはF1だろうとダートトライアルでも変わらないと思います。それに2ペダルのクルマでも楽しめるところもジムカーナの魅力です」と語る。
レース活動が忙しいだけに、ジムカーナでの活動については未定のようだが、「しっかり練習すれば、まだまだ伸びると思いますよ」と手応えを掴んでいただけに、レースシーンだけでなく、ジムカーナシーンでも田中選手の動向に注目したい。