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このポルシェもフェラーリも「自転車」ってマジか! オーストリアの悪ノリを極めたアーティストの正体とは (2/2ページ)

このポルシェもフェラーリも「自転車」ってマジか! オーストリアの悪ノリを極めたアーティストの正体とは

この記事をまとめると

■オーストリアのハネス・ラゲンデル氏はポルシェとフェラーリを完コピした自転車を製作

■ラゲンデル氏が最初に製作した「フェルディナンドGT3 RS」は911 GT3がモチーフ

■次にフェラーリ・エンツォをモチーフとした「ファーラディ・ファーフォールFFX」も製作している

金ピカのポルシェの中身は自転車だった

 アーティストというのはちょっと変わったセンスの持ち主が少なくないかと。オーストリアのハネス・ラゲンデル氏もまた、そんな変人のひとりかもしれませんが、彼の作り上げた作品は、我々クルマ好きの心をとらえて放さないもの。ポルシェやフェラーリのボディを完コピしながら、エンジンは人力というアイディアはともかく、その仕上がりの良さ、果てはサーキットまで走ってしまうという総合プロデュースには、思わず腹を抱えて笑ってしまいました。

 最初にラゲンデル氏が取り組んだのはポルシェ911GT3にインスピレーションを得た(笑)フェルディナンドGT3 RSでした。ポルシェ一族から名前を持ってくるあたりから、ふざけているんだか真面目な作品なんだかあやふやです。マイケル・ジャクソンの「Beat it」をパロったアル・ヤンコビックの「Eat it」を思い出す方もいるかもしれません。

 ご覧のとおり、911 GT3 RSらしさ満点のスタイリングで、ドアやリヤフードのカッティングラインをはじめ、フロントスポイラーやリヤウィング、あるいはホイールベースやタイヤハウスの位置など、わりと忠実に再現されているのが素晴らしい。

 作業の記録を見てみると、最初はシートポジションを割り出すシャシー作りからスタートした模様。自転車のクランクや駆動系をオリジナルフレームに組み付け、フェルディナンド号のホイールベースに沿ったディメンションを構築しています。このあたり、1960年代のカロッツェリア同様の手法であり、クルマ好きなら見ているだけでもワクワクしてくるはず。

 駆動系やシャシーが決まったあとは、実物大のレンダリングに合わせてボディの骨組みを手作業で行います。よく見れば、フレームはいわゆる塩ビ管で、要所こそジョイントパーツを使っているものの、曲線部分はガムテープでぺたぺたと貼り合わせています。

 微妙なニュアンスがあるパートになると、ラゲンデル氏は911GT3 RSのミニチュアを手にとるなどして「美しさは細部に宿る」などとわかったようなことを言っていたとかいないとか(笑)。

 骨組みができると、いよいよボディの成型作業ですが、これまた金色のアルミ箔を貼りこむという方法。古のカロッツェリアに倣えば、アルミ板を木型にあわせて叩き出すのでしょうが、なにしろ人力エンジンですから「軽量さにこだわった」とラゲンデル氏。ちなみに、完成車の重量は100kg程度とのことですから、自転車の駆動系をもってしてもなかなかスピードは乗らないかもしれません。

 それにしても、プロポーションはおろか、ヘッドライトやスポイラーの形状など、仕上がりはどこから見ても911GT3 RSそのもの。自転車のホイールも、例のアルミ箔でRSホイール風に象られていますから、横から見たら「金箔ばりの911か」と見まごうばかり。で、ラゲンデル氏が完成披露の舞台に選んだのが、オーストリアのサーキット「ザルツブルグリンク」というこだわりよう(笑)。

 傑作なのは、このプロモーションビデオで、なんとラゲンデル氏がリポーターとドライバーのひとり二役をしているところ。悪ふざけなのか、アーティスト特有のセンスなのかわかりませんが、見ているほうは可笑しくて仕方ありません。

 そんな失笑じみた笑いは、フェルディナンド号がスタートすると同時に大爆笑へと変わるはず。とにかく、音もなく遅い! だけど、クルマのように4輪で進んでいく様子は、不思議を通り越してシュールな世界に突入しています。横からの見え方と違い、正面や真後ろからだと細い自転車タイヤが妙に笑いを誘います。

 また、第一コーナーへの進入も、シケインの脱出も、とにかく遅っい(笑)。ですが、その様子はクセになる面白さ。ぜひ、フェルディナンドGT3 RSの動いているシーンをチェックしてみてください!

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