マツダはこまめにクルマを進化させていく
そこでマイナーチェンジや一部改良が重要になる。とくに競争の激しいカテゴリーは、マイナーチェンジや一部改良の内容次第で、商品力がライバル車に勝てるか負けるが決まる。たとえばコンパクトカーのヤリスは、2020年に発売され、2021年には安全装備を充実させ、2022年にはドライブレコーダー付きインナーミラーを設定した。
マツダもマイナーチェンジや一部改良を頻繁に行う。今のマツダはエンジンやプラットフォームの共通化を進め、共通部分の少ないサイズの異なる車種でも、開発の考え方は共通だ。従ってひとつの技術を開発すると、ほかの車種にも応用できる。
このメリットを生かすため、最近のマツダ車は改良を頻繁に実施する。フルモデルチェンジを行った新型車が新しい機能を実用化したら、ほかの車種はマイナーチェンジで採用するわけだ。そのために販売台数の多いCX-5は、現行型が2016年末に登場したあと、1年を経過しない2017年に安全装備を見直す改良を実施した。2018年2月にはガソリンとディーゼルエンジンを刷新させ、360度ビューモニターなどの安全装備も充実させた。同じ2018年10月には再び改良を行い、2.5リッターのガソリンターボを加えた。
2019年12月の改良では、4WDの悪路走破力を向上させるオフロードトラクションアシストなどを設定して、2020年12月にはディーゼルエンジンの性能向上などを実施した。2021年11月には、フロントマスクからボディ剛性まで変更する大規模な改良を実施して、2022年10月にも外装色の追加などを行った。
ここまで頻繁に改良すると「いつ買えばいいのかわからない」という声も聞かれるが、商品を綿密に進化させるのはいいことだ。従来の流れを見ると、CX-5の改良は、おおむね10月から12月に実施されている。この流れを定着させると「毎年秋から冬には、CX-5に何かが起こる」という話になり、ユーザーも購入予定を立てやすい。
綿密な改良をユーザーがわかりやすいスケジュールで実施すると、好調な売れ行きが保たれ、メーカーや販売会社を含めてメリットを生み出す。こういった安全装備や環境性能を着実に進化させる改良が、今はとくに重要になっている。