自社生産で電子制御部品を賄う海外EV専業メーカー
一方で、バッテリーメーカーとして創業した中国のBYDは、自社で半導体その他の電気部品を製造しているので、上記のような納期遅れの影響は限定的であるようだ。また、EVでもっとも原価の負担が大きいとされるリチウムイオンバッテリーを自社生産するうえ、電極にリン酸鉄を使うなど独自の原価低減に努めてきた成果が、競合他社に比べお得感のある値付けを実現している。
リン酸鉄の電極については、米国のテスラもモデル3で導入している。
EVに的を絞って開発・製造・販売するメーカーは、重要部品への備えがほかの自動車メーカーに比べ充実しているといえそうだ。また、多種多様な動力源の新車販売をするより、部品の絞り込みによる生産性向上もEV専用メーカーは見込めるだろう。
既存の自動車メーカーがEVメーカーへ転換を図るのは容易ではない。しかし、日本ではホンダが、欧州ではボルボが、EVメーカーを目指すことをすでに明らかにしている。メルセデス・ベンツも、乗用車に関してはEVが取るべき道だと、ドイツ本社の会長が語っている。
5年後か10年後か、いずれにしてもEVが新車販売の中核になると予想するなら、一刻も早くEVメーカーへの脱皮をはかることが、逆に、半導体や電気部品不足が起きた際の強みになる可能性もある。